2025 年 7月 11日 (金)
ホーム政治北朝鮮北朝鮮も「人口減少」に苦悩…五つ子誕生を宣伝、多子家庭に優遇策

北朝鮮も「人口減少」に苦悩…五つ子誕生を宣伝、多子家庭に優遇策

北朝鮮の対外宣伝誌「錦繍江山」7月号(c)news1

北朝鮮が少子化に歯止めをかけるため、三人以上の子どもを持つ多子世帯への優遇政策を盛り込んだ5カ年計画の策定に乗り出している。最近では国内初の五つ子誕生を大々的に報じ、出産奨励を進める姿勢を鮮明にしている。

北朝鮮の対外宣伝月刊誌「錦繍江山」7月号には、人口研究所のヤン・ソンイル所長のインタビューが掲載された。同研究所は1985年に設立され、今年で創立40周年を迎えた。

ヤン所長によると、研究所は出生率や労働力の変化とその要因を分析し、人口高齢化に対応する持続可能な社会構造について研究、関係機関に政策を提言しているという。とりわけ少子化対策として、多子世帯に対する支援制度の整備に貢献していると述べた。

具体的には、3人以上の子どもを育てる家庭に対して生活に実効性のある特別補助金を支給し、商業・教育・保健などの分野でも多子家庭優遇策を拡充しているという。また、保健省と連携して「国家再生産健康活動計画(2026〜2030)」の策定も予定している。

北朝鮮は今年1月に五つ子が誕生したことを強調し、この家族が「最上級の特典」を受けたと喧伝。三つ子が生まれるたびに国家レベルで宣伝するなど、「人民大衆第一主義」の体現として多産家庭を称揚している。

2023年には育児法を改正し、乳製品などの児童向け栄養食品を国家が無償提供する体制を整備。昨年12月には「第5回全国母親大会」を開催し、女性に対して「経済への参加と同時に多くの子どもを産むことで体制維持に貢献せよ」と呼びかけた。

また、昨年には8歳以下の子どもを2人以上育てる母親の労働時間を短縮し、有給休暇の倍増や出産後の育児休業取得を可能にするよう制度も改正された。

韓国統計庁の「2024年 北朝鮮主要統計指標」によると、2023年の北朝鮮人口は約2578万人で、韓国(5171万人)の約半分。合計特殊出生率は1.6人で韓国(0.72人)より高いが、労働集約型の経済構造や人口の軍事動員比率を踏まえると、人口減少は北朝鮮にとってより深刻な打撃となる可能性が高いと指摘されている。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular