平壌の大成百貨店に、海外高級ブランド製品が多数並んでいる実態が確認され、国際社会の対北制裁に抜け穴があることが浮き彫りになった。
北朝鮮に留学中の中国人の大学生らが、今月初旬に訪れた大成百貨店の写真をSNSに投稿した。その中には、スポーツコーナーでアディダス(adidas)やナイキ(NIKE)の靴や衣服が販売されている様子が写されていた。
また、化粧品コーナーには「シャネル(CHANEL)」「SK-II」といった有名ブランドの商品が並んでいた。
さらに、食品コーナーの動画には、スコッチウイスキー「バランタイン」12年や17年ものが展示されている場面が映り、日本のたばこ「セブンスター」も見られた。
大成百貨店は、贅沢品を販売する主要な拠点で、朝鮮労働党の「39号室」が管理しているとされる。同百貨店ではシャネルやフェラガモなど高級ブランド品の購入が可能だという。
キム・ジョンウン(金正恩)総書記をはじめとする北朝鮮高官らは、国連の対北制裁をかいくぐり、贅沢品を頻繁に購入している。いわゆる「二重貿易」や外交官を通じて違法な手段で物資を入手しているとされる。
国連の報告書では、金総書記が使用するドイツ製「メルセデス・ベンツ」のマイバッハS600モデルが北朝鮮に渡った経緯について、輸出業者が「香港向けに販売したと思っていた」と説明した事例が記載されている。
国連安保理は2006年の制裁決議1718号以後、贅沢品の北朝鮮への流入を禁止してきた。2013年の制裁決議2094号では、高級車やヨット、高額時計、宝石類を禁輸品に指定し、その後、酒類やたばこにも範囲を拡大した。
しかし、2020年に国連制裁委員会が公開した写真には、大成百貨店の店頭に並ぶ海外製ウイスキーが写っている。
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