ロシアのウクライナ侵攻などでドローンが幅広く活用されるなど、韓国内外でドローンの脅威が次第に高まるなか、韓国政府が対策に本格的に乗り出した。
韓国の情報機関、国家情報院は12日、国土交通省と科学技術情報通信省と共にドローンによるテロ対応力強化のために「国家アンチドローン訓練場指定・運営に関する業務協約」を締結した。
北朝鮮の無人機が2022年12月26日、ソウル上空に侵入したことがわかり、問題となった。このうち1機は龍山(ヨンサン)の大統領室を中心とした半径3・7キロの飛行禁止区域(P73)まで侵入した後、帰還した。
この時、韓国軍は攻撃ヘリなどを緊急投入したが、撃墜に失敗。「無人機浸透態勢」である「タンチョウ」の発動も遅れるなど、韓国軍の不十分な対応が批判を浴びた。
韓国では現行の電波法上、ドローンによる脅威があれば、軍事活動や対テロ活動のために電波遮断装備の使用が例外的に可能だ。
国家情報院は国土交通省、科学技術省と共に訓練・試験目的の「アンチドローン訓練場」が必要だと判断し、昨年数回にわたり法的・制度的な対策などを議論した。
また、今回の協約で、科学技術情報通信省は行政委員会の議決を通じ、安全措置された区域内で電波遮断装置の訓練・実験などができるようにした。
国土交通省は、国家対テロ能力の強化や産業界のアンチドローン装備の開発に向け、アンチドローン施設を備えた義城(ウィソン)ドローン飛行試験センターや高城(コソン)ドローン開発試験センターを構築した。
国情院はアンチドローン訓練に必要な実戦装備を導入・配置し、軍や警察など対テロ関係機関に必要な訓練プログラムの立案に力を入れた。
今回の業務協約は、国内対テロ関係機関のドローン対応訓練と民間アンチドローン装備開発企業の技術を試験評価できる基盤施設を提供することで、国家レベルのドローンテロ対応力を強化する契機を作ったものとして意味がある。
この日の協約により、3つの省庁は義城、高城など国家ドローンインフラ2カ所を「国家アンチドローン訓練場」に指定し、運営する。特に国家アンチドローン訓練場ではアンチドローン装備試験・性能検証が安全で円滑に実施できるよう協力することにした。
国情院関係者は「国家アンチドローン訓練場の運営を通じ、北朝鮮の無人機およびドローンテロ威嚇への対応力を一層強化できるようになった。現場訓練の需要を掘り起こし定期的な国内外アンチドローン装備性能評価の場を設けて民・官全てに必要な情報を提供する計画だ」と明らかにした。
また、科学技術情報通信省ネットワーク政策室のリュ・ジェミョン室長は「今回の業務協約締結は政府が積極的な行政を通じて制度的根拠を速かに用意し、関係部署間の協業で現場の問題事項を解決した模範的な事例だ。ドローンテロなど新技術を悪用した脅威から国民を積極的に保護できるよう、科学技術情報通信省ができる政策的努力を今後も持続していく」と語った。
さらに、国土交通省のキム・ヨングク航空政策官は「国家アンチドローン訓練場の指定と共に初期技術開発段階から活用段階までドローン産業を支援するインフラの構築・運営を通じてドローン分野の技術発展と産業成長を積極的に支援していく」と強調した。
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