こうした北朝鮮側の映像制作について、韓国の専門家は「北朝鮮住民の日常が他国と変わらないことを示す狙いがある」とみている。
東国(トングク)大学北朝鮮学研究所のハ・スンヒ研究教授は、2020年に発表した「北朝鮮のユーチューブ対外宣伝媒体活用様相」論文で次のように分析している。
「(北朝鮮は)ユーチューブコンテンツ内の政治的内容を最小化し、“普遍の国家”として対外的に認識されるよう転換を試みている。北朝鮮は映像を通じて伝達する内容が、普遍的なものであると規定している。Vlogという形式を使って国際社会の日常の『普遍』的な基準に進入し、主流に便乗しようとしている」
北朝鮮ユーチューバーの中で若い女性が多い理由についても多様な解釈が存在する。ハ教授は「北朝鮮側が『女性と児童の姿は、柔らかい印象があり、伝達力がある』と判断したのだろう」と述べ、「広報戦略」の一環と強調する。
そのうえで、次のような解釈を示した。
「北朝鮮は人権に関する義務の履行を(国際社会に)報告書として提出している。児童福祉増進や女性の権利、障害者医療関連などについて、自分たちが報告書に記した多様な措置が実際に取られているという点をコンテンツによって示そうとしている」
一方、北韓大学院大学のイ・ウヨン教授は「今、北朝鮮にとって一番大変なのが制裁だが、制裁の効果が上がっていないと主張したいのだろう。それを示す効果がある」とみる。
女性や幼い子供たちは相対的に社会的弱者とみなすことができるといい、そうした人たちが生きていくうえでも制裁による支障がないということを示そうというもの――との見方を示した。
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