2024 年 11月 26日 (火)
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北朝鮮の「汚物風船」で建物に被害、けがをしても…「補償は未知数」という韓国側の“残念な”事情

5月29日、北朝鮮が散布した対南ビラと推定される物体=読者提供(c)news1

北朝鮮が散布した「汚物風船」が落下して傷害を負ったり、財産上の被害を受けたりしても、韓国政府と地方自治体に補償のための制度的装置がなく、適切な補償を受けることが難しいことがわかった。

ソウル市関係者は「現在まで法令上、今回のような被害を受けても補償する方策はない」という。別の自治体関係者も「北朝鮮の汚物風船やビラ被害の補償関連の制度や予算はない」と説明した。

各自治体が災難被害市民を支援するために用意した「市民安全保険」で補償するにも不十分だ。この商品には「社会災難後遺障害」が保障項目として含まれてはいる。ただし「災難や安全管理基本法」で定めた社会災難で被害を受けた場合にのみ保障されるだけに、ビラなどによる被害が「災難」と認められるか未知数というのが地方自治体の説明だ。

しかも、これでさえ「特約」であり、自治体ごとに状況は違う。自動車や建物などの被害は最初から保障範囲に含まれていない。

韓国軍も「補償は難しい」という立場だ。軍関係者は「北朝鮮関連の問題すべてを軍で扱うわけではない。ビラ関連の被害補償は軍の業務範囲外」としている。

北朝鮮が飛ばしたビラによる被害は、これまでたびたびあった。2016年には北朝鮮から送られた風船が高陽市一帯に落下し、駐車車両が破損した。先月29日にも汚物風船で全国各地でビニールハウスの屋根が破れたりもした。

現状では、こうした被害が発生しても個人が加入した保険で処理するしかない。保険業界関係者は「保険料が割り増しされることを望まないならば保険会社に求償を請求する方法もあるが、先例がなく、可能かどうか未知数」とみる。

韓国政府もこのような死角地帯を認知し、2021年4月に、敵の浸透または挑発に伴う国民の財産上の被害に対して国家や地方自治体が補償する根拠を盛り込んだ民防衛基本法改正を準備した。しかし、立法予告の段階で中断された。

北朝鮮が汚物風船を飛ばし続ける可能性があるため、専門家は速やかに対策作りに乗り出すべきだと強調する。

(c)news1

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