
韓国の国策研究機関「韓国国防研究院(KIDA)」が、北朝鮮の「戦略兵器5大課題」について分析したところ、核弾頭および大陸間弾道ミサイル(ICBM)の分野では一定の成果を収めたが、原子力潜水艦や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など他の分野では開発の遅れが目立つという。
この「戦略兵器5大課題」とは2021年の朝鮮労働党大会で掲げられた▽超大型核弾頭の生産▽射程1万5000キロ以内への命中精度の向上▽水中および地上発射可能な固体燃料ICBMの開発▽原子力潜水艦と水中発射型戦略核兵器の保有▽極超音速兵器の開発――の5項目だ。
韓国国防研究院のシン・スンギ研究委員によると、超大型核弾頭は少量ながら生産が進んでいると見られ、評価は「上」。再突入体に搭載するための小型化・軽量化や威力強化も進展していると分析した。
ICBMに関しては、固体燃料を用いた火星18型や19型の開発により推進技術面では一定の成果を収めたとされるが、通常の発射角度による最大射程での試験発射が実施されておらず、全体としては「中」程度と評価された。
一方、SLBMは水中発射実験すら実施されておらず、「下~中」レベルと評価された。原子力潜水艦に至ってはさらに開発が遅れており、現在も初期段階にとどまっているとして「下」とされた。ロシアからの技術供与があれば進展する可能性もあるが、現時点では大きな進展は見られていない。
また、極超音速兵器に関しては、「円錐型」はある程度成功しているが、「くさび型」(グライダー型)は試験失敗が続き、「下」評価となった。
シン・スンギ研究委員は「北朝鮮は5カ年計画で未達成となった戦略兵器について、次期2026~2030年の第9回党大会で再び計画を策定し、開発を続けるものとみられる」と分析した。
今後は改良型の戦術・戦略核弾頭の開発を進める一方、SLBM搭載可能な戦略核潜水艦の建造も並行して進めると予測している。2030年代に入れば、北朝鮮は体制維持のために、戦略的な抑止力と報復能力の強化にさらに注力するものとみられる。
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