2025 年 2月 6日 (木)
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北朝鮮「太陽節」に続き「光明星節」も消滅か…金正恩総書記の独自路線加速

昨年2月16日、「光明星節」を迎え、各地のニュースを伝える朝鮮中央テレビ=同テレビキャプチャ(c)NEWSIS

北朝鮮が今年から故キム・ジョンイル(金正日)総書記の誕生日(2月16日)を指す「光明星節」という名称を使用しなくなる可能性が指摘されている。すでに昨年から故キム・イルソン(金日成)主席の誕生日(4月15日)を意味する「太陽節」という表現をほとんど使用しておらず、先代指導者に対する偶像化を抑えるキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の方針が一層強まったとみられる。

党機関紙・労働新聞は3日、キム・ジョンイル氏の誕生日を前に彼を称える記事を掲載した。しかし、「83年前の2月のあの日、偉大な将軍様が誕生した」と記しながらも、キム・ジョンイル氏の名前に直接言及せず、偶像化の意味を含む「光明星節」という表現も使用しなかった。これは例年とは異なる対応であり、変化が見られる。

「光明星節」に合わせた祝祭ムードもやや縮小された様子だ。北朝鮮はこれまで「太陽節」と「光明星節」を「民族最大の慶事」と位置づけ、各種文化イベントを開催してきた。しかし、昨年は2月1日から「光明星節慶祝人民芸術祝典」を報じていたのに対し、今年は関連行事の報道が今のところ見られない。

こうした動きは昨年4月15日の「太陽節」でも確認された。当時、北朝鮮は4月13日から15日にかけ、キム・イルソン氏の誕生日について集中的に報道したが、「太陽節」という名称は15日の記事1本でしか使われなかった。それ以外では「4.15節」や「4月の祝日」といった表現を使用し、意図的に「太陽節」という用語を置き換えようとしているとの分析が出ていた。

ただし、今年の北朝鮮当局が発行したカレンダーには「太陽節」と「光明星節」が記載されており、完全に廃止されたわけではなく、徐々に使われなくなっていく可能性が高い。実際、労働新聞で「光明星節」が最後に登場したのは昨年2月17日、「太陽節」は同年4月15日が最後となっている。

これはキム・ジョンウン総書記が、これ以上先代の偶像化作業に注力する必要がないと判断したためとみられる。

発足から10年以上が経過したキム・ジョンウン政権は、祖父や父の影響から脱却し、「キム・ジョンウン主義」と呼ばれる独自の統治理念を確立しようとしている。南北関係においても、もはや得るものはないと判断し、キム・イルソン、キム・ジョンイル両氏の時代の統一論を放棄。「敵対する二つの国家」と明言し、対南政策を根本から転換したことがその一例だ。

さらに、慢性的な経済難・食糧難に直面する中、「人民大衆第一主義」を掲げ、国民の生活向上に尽力する指導者としての姿を強調してきた。過度な先代の偶像化はこの路線と合わず、経済的な困難が続く中で無条件に過去の指導者を称えることは、むしろ国民の反感を買う可能性がある。

一方で、キム・ジョンウン氏は先代の偶像化を抑える代わりに、自身の個人崇拝を強化する戦略を進めている。昨年6月の朝鮮労働党中央委員会総会では、幹部らに初めて自身の肖像が刻まれたバッジ(肖像徽章)を着用させたことが、その代表的な例だ。

今後もキム・ジョンウン氏は「白頭血統」としての正統性を維持しながら、先代に関連する事業を継続するとみられる。労働新聞は3日、「万景台から始まった朝鮮の栄光を未来へとつなぐ2月の大幸運」という見出しの記事を掲載した。これは、キム・イルソン氏の生家である万景台と、キム・ジョンイル氏の誕生日である2月を関連づけ、「世襲体制」を強調する意図があるとみられる。

統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「『万景台』はキム・イルソン氏を、『2月の大幸運』はキム・ジョンイル氏を象徴する」としたうえで、「キム・ジョンウン氏は先代への直接的な言及や個別の偶像化は避けつつも、自らの血統を誇示することで権力の正当性を強調している」と分析した。

(c)news1

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