北朝鮮が新型極超音速中長距離弾道ミサイル(IRBM)の試験発射に成功した直後、さらに大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を計画している可能性が浮上している。第2次トランプ米政権発足を控え、北朝鮮が存在感を示しつつ、米朝交渉を誘導するため示威行為をエスカレートさせるとの見方が強まっている。
韓国軍関係者によると、昨年末から北朝鮮の平壌一帯でICBM発射用移動式発射台(TEL)の動きが観測されている。動いているTELは、昨年11月に公開されたICBM「火星-19型」に対応するモデルとみられている。
「火星-19型」は固体燃料を使用し、迅速かつ秘匿性の高い発射が可能で、さらに複数の小型弾頭を搭載できる能力を持つとされる。これにより、一度の発射で米本土の複数の標的を攻撃する能力を有すると評価されている。
北朝鮮は過去にも米大統領選や新政権発足前後に示威行為を強化した例がある。2016年には米大統領選の約2カ月前に5回目の核実験を実施し、2017年にはトランプ政権発足後の数カ月間で複数回、ミサイルを発射した。この一連の行為は米国の関心を引き、交渉の機会を得るための「瀬戸際戦術」とみなされている。
専門家らは、北朝鮮がトランプ政権の発足日である1月20日までにICBMを発射する可能性を指摘している。トランプ氏も、示威行為が収まる状況を自身の外交的成果として利用する可能性がある。
北朝鮮がICBMの正常角度での発射や7回目の核実験など、これまで試みていないレベルの挑発に踏み切る可能性が議論されている。一方で、トランプ氏がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記との個人的な関係を言及していることから、行動を抑制しつつ直接交渉に移行する可能性も指摘されている。
ただ、北朝鮮は核放棄の意思がないことを強調しており、米国が「非核化」ではなく「核軍縮」を協議の中心に据える可能性がある。
韓国政府は、北朝鮮が米国に対し、在韓米軍規模の縮小や米韓合同軍事演習の中止、朝鮮半島周辺への米戦略資産展開の中止を要求する可能性に備えている。また、韓国が北朝鮮問題において蚊帳の外に置かれるリスクも考慮し、積極的な外交対応を求められている。
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