2025 年 4月 8日 (火)
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北朝鮮、AI活用を本格化 古写真の復元から顔認識まで「先端技術」導入アピール

北朝鮮の人工知能プログラム「ソンミョン1.0」で復元されたとされる写真=錦繍江山(c)news1

北朝鮮が人工知能(AI)技術を活用し、古い写真の復元や顔認識機能などを備えた独自プログラムを開発したと報じられた。日常生活はもとより、医療や軍事分野にまでAIの適用を広げるなど、AI導入に本格的に乗り出している様子がうかがえる。

北朝鮮の月刊誌「錦繍江山」4月号によると、同国の「鴨緑江技術開発貿易会社」が開発した画像復元用AIプログラム「ソンミョン1.0」が紹介された。このプログラムは、経年劣化やピンボケで不鮮明になった顔写真を、AIの力で高精度に拡大・復元できるという。

同誌は「同社は人物識別、音声認識、車両ナンバー識別、指紋識別など幅広い分野で成果を上げてきた」とし、「2017年から深層神経網(ディープニューラルネット)を活用した顔画像復元の研究を進め、約7年をかけて完成させた」と主張した。

「ソンミョン1.0」は、昨年開催された北朝鮮とロシアの情報化成果展示会でも高く評価され、情報技術分野の優良製品として登録されたという。

北朝鮮の対外宣伝メディア「朝鮮の声」も、金日成総合大学先端技術開発院の情報技術研究所におけるAI画像技術の研究を紹介している。ここでは、顔認識による出入管理システムや認証プログラムなどが開発されていると報じられている。

また、北朝鮮は軍事分野でもAI導入を強調している。キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は3月25~26日、無人航空技術連合体や探知電子研究集団を現地指導し、自爆型攻撃ドローンにAI技術が導入されている点を「軍事的効果が大きい」と高く評価した。

医療現場への応用も進めており、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は2月、「知能型医療奉仕体系」の存在を紹介。「診療過程で得られるデータを標準化・規格化して蓄積し、AIで分析処理することで、診療の質を向上させる」と伝えた。

一方で、北朝鮮によるAI技術の“違法活用”を警戒する声も出ている。米グーグルの脅威情報チーム(GTIG)は今年1月、「北朝鮮がAIチャットボット『Gemini』を使い、在韓米軍の作戦情報や仮想通貨・金融関連のデータを収集しようとした」と明らかにしている。

(c)news1

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