2025 年 4月 27日 (日)
ホーム政治北朝鮮北朝鮮、5000トン級新型駆逐艦進水…「海上核攻撃プラットフォーム」、だが防御力に課題

北朝鮮、5000トン級新型駆逐艦進水…「海上核攻撃プラットフォーム」、だが防御力に課題

北朝鮮が公開した新型5000トン級駆逐艦「チェ・ヒョン号」=ユ·ヨンウォン議員室提供(c)NEWSIS

北朝鮮が独自に建造した最大規模の駆逐艦「チェ・ヒョン(チェ・ヒョン)号」が進水した。この艦艇は弾道ミサイルと巡航ミサイルをいずれも発射可能で、海上核攻撃プラットフォームとして運用されるとみられる。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は26日、新型駆逐艦の進水式が朝鮮人民革命軍創建記念日の25日に南浦造船所で開かれたと報じた。

チェ・ヒョン号の排水量は5000トンで、北朝鮮が保有する艦艇の中で最大級。一般的に1500~4000トン級が護衛艦、4000トン以上が駆逐艦に分類され、北朝鮮はこれまで1500トン級のトゥマン(豆満)級やアムノク(鴨緑)級の戦闘艦を公開してきた。

進水式で演説したキム・ジョンウン(金正恩)総書記は「対空・対艦・対潜・弾道ミサイル防衛能力を備え、攻撃手段として超音速戦略巡航ミサイルや戦術弾道ミサイルなど陸上打撃作戦能力を最大化できる武装体系を搭載した」と述べ、同艦が多目的な水上作戦を遂行できることを強調した。

チェ・ヒョン号はアムノク級護衛艦と異なり、垂直発射装置(VLS)を装備し、艦対地、艦対空、艦対艦ミサイルを全て搭載できると推定されている。北朝鮮の核・ミサイル技術を海上にも拡張する戦略的意図がうかがえる。

キム総書記はまた「主権と国益を守るための我が海軍の活動水域は領海にとどまらず、海軍戦力は必ず外洋へ進出しなければならない」と述べ、今後、外洋作戦艦隊の建設を計画していると明らかにした。さらに「来年もこのクラスの戦闘艦艇を建造し、できるだけ早く、より高い作戦能力を持つ大型巡洋艦や各種護衛艦も建造する計画であり、現在、艦艇の基本設計を最終段階で検討している」と述べた。

韓国の軍事専門記者出身である与党「国民の力」のユ・ヨンウォン(柳永元)議員は、チェ・ヒョン号について「北朝鮮初のフェーズドアレイレーダーを搭載した“北朝鮮版イージス駆逐艦”」とし、VLS区画を3カ所に配置し、艦対地弾道ミサイル(KN-23系統)10発、巡航ミサイル32発を搭載可能だと分析した。

さらにユ・ヨンウォン氏は「北朝鮮版スパイクミサイルなど中・短距離対艦攻撃能力も備えている。ここにファサル巡航ミサイルや北朝鮮版イスカンデル(KN-23)を搭載すれば、海上から戦術核攻撃も可能な艦艇を北朝鮮が保有することになる」と指摘した。

北朝鮮はすでに「核動力戦略誘導弾潜水艦」も建造中で、これは原子力推進の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射用潜水艦と推定されている。キム総書記はこの日、駆逐艦が海軍強化の第一の狼煙であり、核潜水艦が第二の狼煙だと述べた。

元韓国海軍大佐で潜水艦研究所のチェ・イル所長は、チェ・ヒョン号の艦首と艦尾にそれぞれ大型20基、小型52基の垂直発射管が確認されるとしたうえで、「チェ・ヒョン号は駆逐艦というより、多数の誘導弾を搭載した統合火力艦に近い」と分析した。

さらにチェ・イル氏は「チェ・ヒョン号の進水は『小型艦中心から大型艦へ』『沿岸防衛戦力から攻撃戦力へ』『沿岸海軍から外洋海軍へ』『小規模海軍作戦から対陸火力支援作戦へ』と、北朝鮮海軍の運用概念の変化を意味する」と評価した。

チェ・ヒョン号は来年初めに北朝鮮海軍に引き渡され、作戦に投入される予定だ。しかし新型駆逐艦の運用方法の習熟や訓練が必要なため、戦力化には相当な時間を要すると韓国軍は見ている。

チェ所長も「北朝鮮がチェヒョン級を戦略化すれば、核戦略の一環として大型艦による対陸核攻撃能力を飛躍的に強化することになる」と指摘する一方、「チェ・ヒョン号は駆逐艦の主機能である対航空機、対艦、対潜水艦の探知・防御能力が非常に脆弱に見える」と述べた。特にソナーや魚雷といった対潜探知・攻撃システムが不十分で、対潜水艦攻撃における大きな弱点になると分析している。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular