2025 年 2月 8日 (土)
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北朝鮮、非公開会議まで公開、「腐敗処罰」に強硬姿勢…動揺さらに拡大か

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記=朝鮮中央テレビキャプチャー(c)NEWSIS

北朝鮮が異例にも会議内容を公開した「朝鮮労働党書記局拡大会議」に関する報道から、北朝鮮内部の統制が緩みつつある兆候がうかがえる――韓国・国家安保戦略研究院のキム・インテ責任研究委員は、最近発刊した報告書で、1月27日に開催された書記局拡大会議は定例の会議ではなく、党内で発生した異常事態を受けて緊急招集された可能性が高いと指摘した。

報告書は「朝鮮労働党第8期第30次書記局拡大会議の評価と展望」。

党書記局は「党内部業務」を担当し、原則として会議内容を非公開とする。2021年の第8回党大会以降、約30回開催された書記局会議のうち、内容が公開されたのは今回を含め3回のみであり、それだけ今回の議題が「国家的に重要な問題」であったことを示唆しているという。

書記局は、党内で提起される実務的な課題を討議・決定し、その執行を組織・指導する役割を担う。また、20以上の党中央委員会専門部署を総括する「司令塔」の役割も果たしている。

北朝鮮は1月29日に会議内容を公開し、「南浦市温泉郡の党委員会および行政指導幹部が党規律を『全面拒否』し、集団で不正行為を働くという特大事件を引き起こした」とし、さらに「慈江道雩時(ウシ)郡の農業監察機関の監察官が、法的権限を悪用し、人民の利益と財産を乱暴に侵害する反人民的犯罪行為、特大級の犯罪を犯した」と発表した。

注目すべきは、今回「重大事件」が発生した2つの地域が、いずれも「地方発展20×10政策」のモデル地区として中央の集中的な支援を受けていた点だ。この政策はキム・ジョンウン(金正恩)総書記が推進する重点事業の一つであり、その指定地域で不正が発覚したことで、最高指導者が直接、乗り出す形となった。

キム・インテ研究委員は「党の決定を徹底させるため、全党・全社会的な動員を強調しているが、現実との乖離はますます深刻化している」と指摘した。表面上は2地域での腐敗が確認されたが、実際には全国的に不正が蔓延している可能性が高いとの見解を示した。

北朝鮮が地方党・行政機関の「集団的解体」という強硬措置に踏み切った背景には、地方組織の深刻な逸脱に対する強い不満と、「地方発展20×10政策」の遅れや成否への不安があると推測される。

また、今回の事件は住民の陳情によって表面化した可能性が高いという。

現在、北朝鮮では規律強化と監視体制の強化の一環として、住民による陳情制度が奨励されており、腐敗による被害を受けた住民の告発が発端となった可能性があるとみられる。

キム・インテ研究委員は「北朝鮮は、党員や住民の不満から生じた問題であればあるほど、意図的に社会的な議題に発展させ、最高指導者の統治正当性を強調しようとする」と分析した。

こうした状況は、北朝鮮が今年10月に迎える「党創建80周年」や、2026年初めに開催が予想される「第9回党大会」の準備を進める過程で、権力層の動揺や不満の増大につながる可能性があるとみられる。

当面、党の末端組織の幹部を対象にした思想教育キャンペーンや、中央による統制強化策がいっそう強まると予想される。しかし、腐敗摘発が相次ぐほど、かえって党が推進する重点事業の動力が失われるとの見方も出ている。

(c)news1

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