北朝鮮で昨年12月に開催された朝鮮労働党第8期第11次全員会議で、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の顔が単独で描かれた「バッジ(肖像徽章)」を着用した高官らの姿が再び確認された。この動きは、キム・ジョンウン氏の個人崇拝を加速させる兆候として注目されている。
党機関紙「労働新聞」は昨年12月23~27日に開催されたこの全員会議で、首相をはじめとする主要ポストの17人がキム・ジョンウン氏の単独バッジを胸に着けている写真を掲載した。同様のバッジは昨年6月の第10次全員会議で初めて確認され、その後一部の公的行事で使用されてきたが、大規模に着用されたのは久しぶりだ。
北朝鮮では、最高指導者の肖像バッジを住民から高官に至るまで着用する慣習がある。現在、キム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記の肖像を個別に描いたバッジ、両者を並べたバッジ、そしてキム・ジョンウン氏単独のバッジが存在する。これらは指導者への忠誠心の象徴であり、特にキム・ジョンウン氏のバッジは特定の高官にのみ配布されるため、権力や政治的地位を示す要素があるとされる。
昨年、北朝鮮北西部での大規模な水害やロシアへの軍隊派遣による民心の悪化が影響し、キム・ジョンウン氏の個人崇拝に慎重な姿勢を取ったとの見方がある。しかし、今回の全員会議でのバッジ再登場は、キム・ジョンウン氏の崇拝運動が再び本格化する可能性を示唆している。
キム・ジョンウン氏の個人崇拝の象徴としては、2022年10月に公開された農場での単独モザイク壁画や、2023年5月の党中央幹部学校での単独肖像画の掲示などがある。これらの事例は、キム・ジョンウン氏をキム・イルソン主席やキム・ジョンイル総書記と同列の存在として位置づける動きを示している。
専門家の間では、こうした動きが北朝鮮国内での統治強化の一環とされており、今後さらに多くの場面でキム・ジョンウン氏の肖像が利用される可能性があると分析されている。
(c)news1