2025 年 3月 16日 (日)
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北朝鮮、観光中断の理由はインフルエンサー?…「統制策」の整備後に再開か

北朝鮮・葛麻海岸観光地区の全景(c)NEWSIS

北朝鮮が5年ぶりに再開した外国人観光を、わずか3週間で突然中断した背景に、海外の「旅行インフルエンサー」の影響があったという分析が浮上している。YouTubeなどを通じてインフルエンサーが発信した北朝鮮の望ましくない実態や評価が、予想を超えて急速に拡散したことが原因とみられている。

北朝鮮は先月末、羅先経済特区にて2020年の新型コロナウイルス以降初めて外国人団体観光を再開した。しかし、そのわずか3週間後、北朝鮮は観光の全面中断を決定。北朝鮮専門の旅行会社を通じてその方針が伝えられた。

北朝鮮当局は旅行会社に対して具体的な中断理由を明かしていない。しかし、多くの専門家は、観光客がロシアへの派兵など敏感なテーマを質問したり、北朝鮮の後進性や体制の問題点を否定的に発信したりしたことに、北朝鮮側が過敏に反応したとみている。

一方で、北朝鮮当局がコロナ禍で急増した「旅行インフルエンサー」の影響力を過小評価していた可能性も指摘されている。彼らは瞬時に世界中の多くの人々に情報を届け、「新たな旅行先」を積極的に発掘・紹介する存在となったにもかかわらず、北朝鮮当局はそのリスクを十分に認識していなかったという分析だ。

実際、5年前はインフルエンサーの影響力が今ほど大きくはなかった。当時の北朝鮮旅行の体験談は、ブログや一部のメディアを通じて限定的に伝えられていたに過ぎない。しかし、コロナ禍を経て急増したインフルエンサーたちが、北朝鮮観光再開後に急速に流入し、北朝鮮の実態が短期間で広まる事態となったことで、北朝鮮当局は当惑したとみられている。

実際、登録者数70万人以上を誇る海外YouTubeチャンネルにも、北朝鮮旅行に関するレビューが次々と投稿されている。

登録者約73万人のポーランド人ユーチューバー「ojwojtek」は、先月27日から4日間にわたり羅先市を訪問した際の映像を公開した。

登録者160万人以上を持つインドのユーチューバー「Tamil Trekker」も、12日に北朝鮮旅行の体験を動画で投稿した。

彼らは、羅先市が古くからの経済特区であるにもかかわらず、自動車や人の姿がほとんど見えず、ほぼ荒野のような印象だったと報告している。観光プログラムについても、鹿への餌やりや水工場の見学など、全体的に内容が乏しかったと評価した。

また、案内役の女性が英語を流暢に話せなかったことや、住民が外国人を警戒している様子がしばしば見られたと伝えている。

もっとも、北朝鮮が観光を完全に中断したわけではなく、あくまで「一時的な中断」との見方も強い。

最近の北朝鮮メディアは、6月に開業予定の葛麻(カルマ)海岸観光地区を積極的に宣伝している。観光庁の公式サイト「朝鮮観光」には葛麻観光地区のPR映像が掲載され、内閣機関紙「民主朝鮮」も「東海岸の名勝地に設けられた多数のホテルや海水浴施設、スポーツ・娯楽施設はまるで名画のようだ」として、広報に力を入れている。

このような北朝鮮メディアの動きは、羅先での観光中断の要因となった問題点を改善し、改めて観光を再開する準備を進めている証拠だとする見方がある。実際、北朝鮮は4月6日に予定されている「平壌国際マラソン」への参加受け付けを進めている。

韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮は観光を全面再開した際に発生した予期せぬ副作用について分析・評価しているはずだ。それを踏まえ、4月の平壌マラソンや6月の葛麻観光地区開業を本格的な観光再開の起点とする可能性が高い」と指摘した。

(c)news1

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