
北朝鮮が核兵器と通常戦力を統合した「自強型」核・通常統合戦力(CNI: Conventional-Nuclear Integration)構想を本格化させ、「非核化不可能な環境」を固定化しようとしているとの分析が示された。
韓国・国立外交院外交安保研究所のパン・ギルジュ助教授は10月15日発表した報告書「北朝鮮の閲兵式政治:労働党創建80周年行事にみる計算と対応策」で、「キム・ジョンウン(金正恩)政権は閲兵式を単なる軍事イベントではなく、体制の安全保障および対外戦略の手段として利用している」と指摘した。
キム総書記は9月、国防科学院を視察した際、来年初めの第9回党大会で「核武力と通常戦力の併進政策」を採択し、具体的内容を公開すると明言していた。今回の閲兵式で公開された多様な新型兵器は、その構想の一端を具現化したものとみられる。
パン・ギルジュ氏は「これは韓米が進めている『核協議グループ(NCG)』体制に対抗し、自立的な統合戦力を完備しようとする試み」とし、キム総書記が閲兵式直前に新型駆逐艦「崔賢」号を視察したのも「近代化された海上戦力に核を搭載する意図を示したもの」と分析した。
今回の閲兵式では、米本土を射程に収める新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星20型」をはじめ、極超音速中距離戦略ミサイル、短距離弾道ミサイル「火星11マ」など、戦略兵器の新型モデルが多数登場した。
パン・ギルジュ氏は「北朝鮮は核戦力の高度化を超えて“準強大国”を自任する“ハイパー戦略”の軍事的ロードマップを明示した。これは非核化そのものを不可能にするための政治的計算の一部だ」と述べた。また、こうした軍事行動が単なる武力誇示を超え、外交的地位拡大を狙った「戦略的外交化」の一環になっているとも分析した。
パン・ギルジュ氏は、韓国が「核安全保障強化・外交地平の拡張・戦略メッセージ体系化」を軸に対応戦略を整えるべきだと提言した。「北朝鮮の自強型統合戦力を相殺するための核安全保障対策が急務だ。韓米核協議グループの協力を一層強化し、既存の韓国型3軸体系(先制打撃・ミサイル防衛・報復能力)を“兵器中心”から“作戦手順中心”へと進化させる必要がある」と述べた。
さらに、北朝鮮の「ハイパー戦略」に対抗するため、韓国も「グローバル責任国家」として外交的影響力を拡張すべきだとし、「北朝鮮の戦略外交に有効に対抗できる外交ロードマップの構築が必要だ」と指摘した。
最後にパン・ギルジュ氏は「北朝鮮の戦略的宣伝戦に対応する『戦略メッセージTF(タスクフォース)』を設置すべきだ」と提案。「このTFは、国防・軍事分野の戦略メッセージを戦略司令部が主導的に策定・実行できる体系として整備する必要がある」と強調した。
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