
北朝鮮が現在、最大で150発の核兵器を保有しており、2040年にはその数が400発規模に達する可能性があるとの見通しが、韓国の安全保障専門家から示された。また、北朝鮮はロシアとの軍事協力を通じ、戦略ミサイルや海軍力の近代化、さらには原子力潜水艦技術の導入を推進しているという。
ソウル・龍山区の国防コンベンションセンターで11月26日開かれた「2025年 北朝鮮軍事フォーラム」で、韓国国防研究院(KIDA)のイ・サンギュ核安保研究室長は、北朝鮮が昨年の朝鮮労働党中央委員会で「核弾頭保有量の幾何級数的増加」を掲げた以降、核物質の増産のための設備拡充と投資を強化していると指摘した。
イ・サンギュ氏の推定によれば、北朝鮮は現在、ウラン型核弾頭115〜131発、プルトニウム型15〜19発、合計127〜150発の核兵器を保有している可能性がある。これは米議会調査局(CRS)、国防情報局(DIA)、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)などが提示している約50発前後という見積もりの2〜3倍にあたる。
この高い推定値は、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が近年、未公開だったウラン濃縮施設を公開するなど、同国の核物質生産能力が大幅に強化されたと見られる現状を反映している。
イ・サンギュ氏は、2040年にはウラン型核弾頭は最大386発、プルトニウム型は最大43発まで拡大する可能性があり、総計400発以上に達する見込みもあると述べた。
また、北朝鮮が今年3月に建造中と主張して写真を公開した原子力潜水艦については、ロシアから技術提供を受けている可能性があると指摘。排水量は5000〜6000トン級と推定されているが、原子炉や垂直・水平ミサイル発射装置などの主要システムはまだ完全に搭載されていない可能性が高いと述べた。
小型原子炉の独自開発には少なくとも10年以上を要するが、北朝鮮はロシアからの関連技術導入に積極的な関心を示していると見られる。
北朝鮮は核兵器と通常戦力の統合作戦(CNI)にも注力しており、核・通常ミサイルの“混合射撃”に加え、長射程砲、放射砲、サイバー攻撃などと核戦力を結合させ、通常兵力の弱点を補完しようとしている。
これに対し、イ・サンギュ氏は国家安保室を中心とした民官軍統合協議体である「戦略的抑止委員会(SDC)」の創設を提案し、北朝鮮の複合的な軍事戦略に対応すべきだと訴えた。
KIDAのチョン・ギョンジュ朝鮮半島安保研究室長は、北朝鮮が以前は韓国を米国との交渉や支援の“通路”と見なしていたが、今は韓国を「敵対国家」と見なすようになり、核使用の可能性にまで言及し始めていると分析した。
また、チョン・ギョンジュ氏は、2021年の朝鮮労働党第8回大会で打ち出された「国防科学と兵器体系の発展5カ年計画」では「先に核を使用しない」としていたが、今やその立場を完全に転換した、とも述べた。
さらに、北朝鮮は中国・ロシアなどの権威主義国家との連携を深め、彼らが主導する空海合同訓練にも関心を寄せているとし、「北朝鮮は国際情勢を利用し、朝鮮半島を超えた戦略空間の拡張を目指している」と強調した。
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