
北朝鮮は約5年7カ月をかけて建設してきた「平壌総合病院」を11月初めに竣工し、年内には地方4カ所で新たに病院を開設する計画を明らかにした。キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は、病院建設現場を今年に入り10回視察するなど、保健医療政策を強調しており、来年初頭に開催予定の党第9回大会で、保健分野の重点政策を打ち出すものとみられる。
党機関紙「労働新聞」は11月20日、キム総書記が19日、平壌郊外の江東(カンドン)郡病院の竣工式に出席したと報じた。キム総書記は演説で「来月は2025年の最終月だ。江東(カンドン)郡病院に続き、亀城(クソン)市病院、龍岡(ヨンガン)郡病院、元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区の応急治療所まで完成すれば、今年だけで現代的な医療施設が6カ所新設されることになる」と述べ、自信を見せた。
関係筋によれば、「6カ所」とは、すでに開業した平壌総合病院と江東郡病院に加え、亀城市病院、龍岡郡病院、元山葛麻地区の応急治療施設2カ所とみられる。
平壌総合病院はキム総書記の「宿願事業」とされ、2020年3月に着工したが、新型コロナウイルスの流行や国連制裁による建設資材・医療機器の調達難などの影響で、当初目指していた同年10月の竣工は延期され続け、今年10月にようやく完成した。
キム総書記は今年2月以降、病院建設現場を10回訪れ、「今年を保健革命の元年」と位置づけ、地方でも現代的な医療施設の整備を進めている。今回竣工した江東郡病院も、わずか9カ月で完成させたという。
ただ、建物の外観は「現代的」とされているものの、医療機器はCTやレントゲンといった基礎的な設備に限られ、MRIなどの高度医療機器の有無は確認されていない。韓国政府関係者は「見かけは整っているが、設備の面では依然として不十分」と指摘している。
北朝鮮は、来年初頭に予定される党第9回大会で、医療施設設計専門機関の設立や、保健事業を担う新機構の設置、第2平壌総合病院の建設、地方中心都市での大型病院建設などを新たな政策目標として打ち出す可能性がある。
中ロとの関係を深めるなかで、今後は病院建設に必要な建材、医療機器、さらには人材面でも協力を模索する動きが加速するとみられる。
(c)news1

