
北朝鮮が外国人観光客向けに高級ゴルフ観光を宣伝する映像を公開し、「ラグジュアリー観光」誘致に乗り出した。映像にはロシア人とみられる観光客の姿も含まれており、北朝鮮とロシアの観光交流活性化の一環とする見方も出ている。
北朝鮮国家観光総局傘下の観光プロモーションサイト「朝鮮観光」は、10月30日付で「平壌ゴルフ場での一日」と題した映像を掲載した。映像には外国人観光客がゴルフカートに乗ってコースを回り、ラウンドを楽しむ様子が収められている。体格や服装などから、観光客の多くはロシア国籍である可能性が高いとみられている。
このゴルフ場は平壌近郊・太成湖周辺に整備された18ホール規模の施設で、すでに2017年から外国人向けのゴルフ観光プログラムが展開されてきた。
中国やロシアの旅行会社を通じて、1泊2日・2泊3日の日程でプレーが楽しめるパッケージ商品として販売され、用具貸出・宿泊・専用車付きの「プレミアムツアー」として提供されていた。キム・ジョンイル(金正日)総書記の時代に整備されたこの施設は、キム・ジョンウン(金正恩)体制下で観光・レジャーイメージを高める象徴として再活用されている。
専門家は、北朝鮮が従来の低価格団体ツアーに加え、体験型・高級志向の観光商品を並行展開することで外貨獲得ルートを多角化しようとしていると指摘している。特に最近ではロシアからの団体旅行再開の動きに合わせ、ゴルフやスキー、レジャーといった非政治的な高級観光分野が注目を集めている。
北朝鮮は対外向け月刊誌「朝鮮」などで、平壌の新都市開発地区「和盛地区」の夜景やレストランを紹介するなど、ラグジュアリーイメージの強化にも力を入れている。
韓国・慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「観光客を呼び込むには、彼らが望むコンテンツを提供する必要がある。ゴルフ場はその一例。ゴルフや高級レストランなど、北朝鮮がPRしている消費活動の多くは国内住民の生活水準とはかけ離れている。それでもこうした宣伝に力を入れているのは、北朝鮮が観光産業に命運を賭けている証拠だ」と分析した。
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