2025 年 12月 22日 (月)
ホーム政治北朝鮮北朝鮮、地方工場の竣工ラッシュ「祝賀ムード演出」で民心掌握狙う…1週間で10カ所、金正恩総書記も2度現地へ

北朝鮮、地方工場の竣工ラッシュ「祝賀ムード演出」で民心掌握狙う…1週間で10カ所、金正恩総書記も2度現地へ

19日付労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮各地で、地方工業工場の竣工が相次いでいる。今週だけで10カ所の新工場が開業し、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記も2カ所の竣工式に出席した。党機関紙・労働新聞は、100枚以上の写真を紙面に掲載し、年末ムードの中で「祝祭のような竣工式」が連日開かれている。

北朝鮮は現在の状況を「竣工の季節」と呼び、民心の引き締めと政策成果のアピールに全力を注いでいる。

キム総書記は18日、黄海南道長淵(チャンヨン)郡の地方工業工場の竣工式に出席。これは15日の江東(カンドン)郡の工場と総合サービス施設(総合奉仕所)の竣工式以来、わずか3日ぶりの現地訪問だった。

労働新聞によると、15日には江東郡のほか、信陽(シニャン)郡、狼林(ランリム)郡、大館(テグァン)郡、富寧(プリョン)郡でも竣工式が開かれた。16日には黄州(ファンジュ)郡で、18日には長淵郡、北倉(プクチャン)郡、鉄原(チョウォン)郡、長江(チャンガン)郡の各地でも新工場が完成している。

注目すべきは、これらの竣工式がまるで祭りのように演出されている点だ。例えば、16日付の労働新聞1面には、キム総書記の写真ではなく、工場全景写真が中心に配置された。北朝鮮メディアにおいては極めて異例であり、最高指導者の肖像を絶対視する報道スタイルからの一時的な逸脱とも言える。

竣工式に集まった市民が花火や伝統的な飾り物を持ち上げ、建物の上から紙吹雪が舞う様子も報道された。キム総書記が現地の食品を味わって「満足感を表す場面」や、住民や子どもたちが製品を手にして喜ぶ様子も取り上げられた。

労働新聞は通常6ページ構成だが、竣工関連の報道があった16日と19日にはそれぞれ8ページに増刷。各日とも100枚超の写真を掲載し、紙面のほぼ全体を新工場の話題に割いた。

15日の竣工式には、キム総書記の妻リ・ソルジュ(李雪主)氏と娘も同行し、家庭的なイメージや次世代への配慮を強調する場面も見られた。

北朝鮮は今回の一連の竣工報道を通じて、第8回党大会(2021年)の政策成果をアピールし、来年初めに予定される第9回党大会への勢いをつけたい思惑があるとみられる。

韓国・国家情報院傘下の国家安保戦略研究院は最近の報告書で、「キム総書記は現地指導による『スキンシップ型リーダーシップ』を強調し、民生経済の成果やイベント演出に注力している」と分析している。

キム総書記は2023年初頭、「地方発展20×10政策」を経済重点施策として掲げ、10年間で毎年20カ所の地方工業工場を建設する計画を発表。今回の竣工ラッシュは、その実行段階に入ったことを意味する。

この政策は5年単位の党計画とは別に、長期的に進行する見通しだ。

今月18日に長江郡で開かれた竣工式では、地域住民による祝賀公演や催し物もあり、工場建設を地域の「成功物語」として演出する意図が色濃く反映された。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular