2025 年 10月 13日 (月)
ホーム政治北朝鮮北朝鮮、党創建80周年で中・露・ベトナム・ラオスを総動員…“友邦外交”で「包囲網突破」狙う戦略

北朝鮮、党創建80周年で中・露・ベトナム・ラオスを総動員…“友邦外交”で「包囲網突破」狙う戦略

10月10日、平壌・金日成広場で開かれた朝鮮労働党創建80周年記念軍事パレードで、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星20型」が公開された=労働新聞(c)KOREA WAVE

北朝鮮が朝鮮労働党創建80周年を大規模に祝賀した。中国やロシアの高官に加え、ベトナムやラオスなど友好国の代表団を平壌に招き入れ、外交的「包囲網拡大」を誇示した格好だ。韓国政府関係者は「過去最大規模の外賓招待」と評している。

キム・ジョンウン(金正恩)総書記は記念日前後に民生と軍部の双方を視察し、同時に連日の外交活動を展開。わずか6日間で5回の公式演説を手掛け、国家の「結束と自信」を強調した。演説では「国際的権威が日々高まっている」「我々の政治的力量は拡張している」などと述べ、外交力と核保有国としての地位を誇示した。

軍事パレードには、中国の李強首相、ロシアのメドベージェフ国家安全保障会議副議長、ベトナムの最高指導者トー・ラム共産党書記長が出席。さらにラオス、ニカラグア、メキシコ、赤道ギニア、ブラジル、イラン、ベネズエラ、インドネシアなど11カ国の代表が訪朝し、社会主義・反米ブロックの結束を演出した。

キム総書記は7日にラオスのトンルン・シースリット国家主席、9日にトー・ラム書記長と李強首相、10日にはメドベージェフ副議長と相次いで会談。米国との対話停滞を補うかのように“多層的外交”を展開した。

北朝鮮のこうした自信の背景には、2021年の第8回党大会で掲げた「国防科学・兵器体系5カ年計画」がある。5大戦略兵器の開発を進め、核弾頭と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の改良を通じて「核保有国」としての地位を固めたことが、今回の外交・軍事的強硬姿勢を支えている。軍事パレードでは新型固体燃料エンジン搭載のICBM「火星20型」が初めて登場し、「最強の核戦略兵器」として喧伝された。

一方、キム総書記は米韓両国との距離を取りながら、外交舞台を広げている。9月には中国・北京の「抗日戦勝80周年」式典に出席し、習近平国家主席やプーチン大統領と並んで外交的存在感を高めた。今回の軍事パレードも、その延長線上にあるとみられる。

特に注目されるのは、ベトナムとの関係強化だ。ベトナムのトー・ラム書記長は8月に韓国を訪れ、イ・ジェミョン(李在明)大統領と「朝鮮半島の平和と北核問題の解決」に向けた協力で一致した。2カ月後に平壌を訪問したことで、ベトナムが今後、南北双方と接触できる外交パイプとして浮上する可能性も指摘される。

しかしキム総書記は9月の最高人民会議で「韓国とは向き合うことはない」と明言しており、当面は南北対話の再開は難しい。韓国・慶南大学のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮が示す軍事的・外交的自信は、むしろ南北関係をさらに冷却させる要因となる」と指摘した。

北朝鮮は来年初頭、第9回党大会を開催する予定で、ここで新たな対外方針を明確化するとみられる。北朝鮮が“核保有国外交”を前提に、米韓との対峙構造をどう再設計するか、今後の戦略的転換を見極めることが求められている。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular