2025 年 4月 18日 (金)
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北朝鮮、ロシア派兵の実戦経験を戦術に迅速導入…金正恩総書記「我が国式の新戦法」強調

2024年3月、現地指導に臨む北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記=朝鮮中央テレビより(c)NEWSIS

北朝鮮がロシアへの軍派遣を通じて得た戦闘経験を、特殊作戦部隊の訓練に迅速に反映し、新たな戦術の習得に着手していることが明らかになった。特に無人機(ドローン)による攻撃に対応した「隠密性重視」の訓練が実施されており、今後の対南戦略への応用も視野に入れているとみられる。

7日付朝鮮労働党機関紙・労働新聞によると、キム・ジョンウン(金正恩)総書記は4日、平壌郊外に位置する朝鮮人民軍特殊作戦部隊の訓練基地を訪問し、統合訓練を現地指導した。

公開された写真には、兵士たちが隠れ場所の少ない開けた地形を突破し、ギリースーツ(擬装服)を身にまとった狙撃兵たちが草むらに身を潜める様子が映されている。こうした「隠密侵入・待ち伏せ」訓練は、偵察用ドローンに発見されるリスクを抑えるための新戦術とみられる。

北朝鮮は、兵士らを派遣したとされるロシアとウクライナの国境付近、特にクルスク戦線に近い環境を再現し、実戦で得た教訓を取り入れた訓練を進めている。特に、派兵初期に北朝鮮兵が雪原の開けた地形を無警戒に突進し、ウクライナの無人機により多数の死傷者を出したとされる事例は、今回の訓練の背景として大きい。

労働新聞は今回の訓練について「現代戦の進化に合わせて特殊作戦部隊の戦力を強化するため、我が国式の新たな戦法と方法論を絶えず模索・適用し、実践的な訓練を通じて習得させている」と強調した。

さらに北朝鮮は近年、自爆型無人機の攻撃能力を誇示し、大量生産体制の構築に入ったとも伝えている。キム総書記は先月25~26日には、人工知能(AI)技術を搭載した自爆ドローンの実験を直接視察し、米軍の無人偵察機「グローバルホーク(RQ-4)」に類似した無人機を確認した。

キム総書記はこの場で「無力の近代化において無人装備とAI技術分野は最優先で発展させるべき部門だ」と述べ、ドローン戦力の拡充を指示した。

北朝鮮はこのように、無人機を中核とする現代戦の様相を反映し、兵器開発や訓練手法などに派兵経験を急速に取り入れている。これは戦場での即応性を高めるとともに、非対称戦略の進化に直結しているとみられる。

クルスクの戦場環境は朝鮮半島とは異なるが、北朝鮮はここで得た実戦的知見をもとに「新たな非対称戦術」を構築し、それを南侵戦略に反映させる可能性が高い。実際、北朝鮮は昨年以降、南北を「敵対する二国家関係」と位置付け、軍事境界線付近への侵入訓練や韓国施設の制圧、ソウルへの砲撃や戦車部隊の展開など、地上戦に重点を置いた訓練を強化している。

また、実戦経験を有する兵士たちを他地域へ再派遣することで、派兵を外貨獲得手段として活用する可能性も浮上している。北朝鮮は今回のロシアへの武器支援と大規模な軍派遣の見返りとして、ロシア側から先端軍事技術の支援や経済協力など多方面での支援を取り付けたとみられる。

(c)news1

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