
北朝鮮がロシアへの追加派兵を決定した。ロシアとの新たな軍事・経済連携の強化と、「血盟」関係の再確認を狙うキム・ジョンウン(金正恩)政権の思惑が浮き彫りとなっている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞によると、キム総書記は17日、ロシアのショイグ国家安全保障会議書記と会談し、「両国間の条約に基づき協力内容を確定し、関連計画を受け入れた」と明かした。これにより北朝鮮は、地雷除去を担う工兵部隊1000人、戦争で破壊されたインフラの再建を担う建設兵5000人の計6000人をロシアに派遣する。
北朝鮮はすでに1万1000人を派兵した後、今年初めに3000人超を追加しており、今回の決定は「第3次派兵」となる。
これに対し、国際社会からは「北朝鮮の海外労働者派遣は国連安全保障理事会の制裁決議違反」との強い批判が上がっている。だが、北朝鮮は軍事・経済・外交の各方面で得られる実利を優先し、派兵をあえて公開したとみられる。
派遣される部隊の中心は、前線戦闘要員ではなく工兵や建設兵であることから、戦場での「外貨稼ぎ」としての側面も指摘されている。また、北朝鮮が求めている軍事偵察衛星、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、核兵器の小型化などの軍事技術の獲得も視野に入っているとされる。
北朝鮮は近年、新型駆逐艦の建造を進めており、今後ロシアとの協力を通じて海軍力強化を図る可能性もある。
今後、6月下旬に予定されている党全員会議で、今回の派兵を「正当かつ成果ある行動」として紹介し、キム総書記の「業績」として強調する動きも予想されている。
韓国・漢拏大学のチョン・デジン教授は「第3次派兵は北朝鮮とロシアの関係をより緊密にする象徴的な意味を持つ。経済的利益だけでなく、現在の国際情勢の中で有利な外交的立場を築こうとする意図がある」と分析している。
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