
北朝鮮が、ロシア・ウクライナ戦争への参戦軍に「共和国英雄」称号を授与するなど過度に英雄化することは、同国が「正常国家」としての対外的イメージを確立しようとする戦略にむしろ逆効果を及ぼしかねないとの指摘が出た。
国家安保戦略研究院のイム・スジン研究委員は10月1日に発刊した「北朝鮮のロシア参戦軍英雄化戦略」報告書で「露参戦軍に対する過剰な宣伝は、北朝鮮の国際的イメージを『軍事動員体制』として強化する」と分析した。
キム・ジョンウン(金正恩)総書記は9月20~21日に開かれた第14期第13回最高人民会議で、ロシア参戦軍の「献身」を称賛し、彼らと遺族への十分な社会保障を約束。これに先立ち、国家表彰授与式を開き「共和国英雄」の称号も与えていた。
イム・スジン研究委員は、この「英雄化」には内部の動揺を封じ結束を強める狙いがあると指摘。「戦争の記憶を再生産し、共同体的連帯を強化する側面がある」とした。また、海外派兵に伴う住民の不満を事前に抑え込む目的もあるとみられ、「戦死者や参戦者を最高の栄誉で遇することで派兵を正当化し、住民の動揺を最小化しようとした」と説明した。
さらに「国は犠牲に必ず報いる」という強いメッセージを住民に与え、国家アイデンティティを補強する意図もあるという。
対外的には朝ロ関係の緊密さを誇示する手段になり得るが、北朝鮮の「平和国家」イメージ構築には逆行するとの懸念も示された。イム・スジン研究委員は「国際社会で『正常国家』としての役割を果たすには、『軍事動員体制』イメージから脱却し、多者協力と対話を重視する『平和的行為者』としての新たな姿を築く必要がある」と強調した。
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