
北朝鮮が、対外向け広報媒体や観光プロモーションサイトにおいて「ゴルフ」を繰り返し取り上げている。制裁下かつ経済難にある中で「正常なレジャー生活が可能な国家」というイメージを発信し、外国人観光客の誘致を念頭に置いた戦略との見方が浮上している。
北朝鮮の対外向け月刊誌『錦繡江山(クムスガンサン)』12月号では、「週末の疲れを癒す方法」と題した特集記事の中で、ゴルフを主要な余暇活動として紹介。「秋季にはゴルフ愛好家による競技が開催された」とし、個人戦と企業・団体別対抗戦の模様を伝えた。個人戦は男女、年齢層別に細分化されていたという。
国家観光総局傘下の観光広報サイト『朝鮮観光(choson-tourist.com)』でも、11月末に同様の大会を報じた。サイトは「本年だけでゴルフ愛好者が1000人以上増加した」とし、「ゴルフ文化の普及・宣伝と技術向上事業を今後も活発に進める」と明記している。
北朝鮮はこれまでも、ゴルフのほか、乗馬やスキーといった「上流レジャー」を朝鮮中央テレビや観光サイトを通じて繰り返し紹介してきた。これには、制裁と経済困難に直面する中でも「文明国家」としての側面を強調し、外部に安定したイメージを印象づける狙いがあるとされる。
特に、新型コロナウイルスの影響で中断されていた外国人観光の再開が取り沙汰される中、ゴルフ場など高級観光インフラを前面に押し出す動きが目立っている。中国やロシアからの富裕層観光客による外貨獲得を見据えた事前広報との見方もある。
ただ、北朝鮮におけるゴルフは、平壌や一部の特別区域に限られた施設でしか楽しめず、実際の利用者は外国人観光客や外貨稼ぎ要員、幹部層に限定されているのが実情だ。大多数の一般住民には無縁の“特権スポーツ”であり、こうしたレジャーを前面に出す姿勢に対しては、現実離れした対外演出だとの批判もある。
専門家は、今回の一連の動きが体制イメージの美化と観光収入確保の両面を狙った戦略的広報と見ている。北朝鮮事情に詳しい消息筋は「過去にもゴルフやスキー、乗馬といった分野を“上流文化”として外国にアピールしてきた。今回はコロナ後の観光再開を見据えた外貨源の多様化の一環だろう」と述べた。
また、北朝鮮は現在、平壌総合病院の建設や新都市開発、文化・体育施設の整備といった取り組みを相次いで報じており、「正常国家」として機能している姿を対外的に訴える姿勢が強まっている。ゴルフを前面に出した観光PRも、こうした文脈の延長線上にあるとみられる。
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