2025 年 5月 28日 (水)
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北朝鮮、「ジェラート」「ワッフル」でデザート多様化…「餅・氷菓」から西洋式へシフト

北朝鮮の朝鮮料理協会が発行する季刊誌「朝鮮料理」2025年1号に掲載されたジェラートの写真(c)news1

北朝鮮が従来の「氷菓(ピンス)」や「餅」といった伝統的な後食(デザート)を超え、「ジェラート」や「ワッフル」など西洋風スイーツの導入に注力している。住民の味覚が多様化するなかで、“嗜好品”の範疇にあるデザート文化の発展を図る動きとして注目されている。

北朝鮮の朝鮮料理協会が発行する季刊誌「朝鮮料理」2025年1号には、ロシアを含む外国のデザートレシピが多数紹介されている。掲載されたメニューには、果汁やでんぷんで作る甘いスープ「キセリ」、ゼラチンを使った「ムース」や「ゼリー」、果実のピューレである「コンポート」、そしてアイスクリームなどが含まれていた。

さらに同誌では、最近開催された「ジェラート・ワールドカップ」も取り上げられており、各国の特色あるジェラートレシピも紹介している。スイスチームは「調理したウサギ肉をとうもろこし生地で包み、サフランを使ったジェラートを添えた」と記され、スペインチームは「オリーブオイルとゼラチンで魚卵形の加工品を作成した」と紹介された。

これまで北朝鮮では、砂糖菓子や餅、氷菓など限られた“おやつ”程度しか一般的ではなかった。しかしここに来て、「嗜好品」として西洋風デザートが広がりつつある背景には、住民、特に若年層の味覚の多様化があるとみられている。

また、デザート多様化には食糧政策の変化も影響している。2021年以降、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は「主食を米やトウモロコシから、小麦粉に置き換える」と指示。以後、米と小麦を主作物として奨励し、小麦の生産量が大幅に拡大された。

韓国農村振興庁が昨年発表した「2023年北朝鮮の食糧作物生産量推定」によれば、同年の北朝鮮における麦・大麦の生産量は22万トンで、前年比22.2%増と大幅に伸びている。

北朝鮮では2022年以降、ほぼ毎年「小麦粉料理展示会」が開催されており、ここでは主食向けの料理に加え、パンやクッキー、ワッフル、ホットドッグなど簡易なスイーツや軽食も紹介されている。

当局が小麦粉の増産を奨励し、住民側の食文化への関心も高まる中、今後も北朝鮮のデザート文化が広がっていく可能性は高いとみられる。

(c)news1

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