
韓国のチョン・ソンホ(鄭成湖)法相が最近、法務省の公式ユーチューブ映像に前歯の抜けた姿で登場し、視聴者の注目を集めた。関係者によると、過労とストレスが主な原因とされる。ムン・ジェイン(文在寅)元大統領も自伝「運命」の中で、青瓦台(大統領府)民情首席として勤務中に10本の歯を抜き、インプラント治療を受けたことを明かしている。大統領在任中にも追加で抜歯したとされる。
このように、過労やストレスによる抜歯は政治家に限った話ではない。Netflixドラマ「イカゲーム」のファン・ドンヒョク監督も、シーズン1から3の制作過程で8本の歯を失ったと公表している。
医療関係者によると、ストレスを受けると体内で「コルチゾール(cortisol)」というホルモンが分泌され、免疫機能が抑制される。その結果、歯ぐきの炎症が悪化し、回復も遅れるため、歯周炎が急速に進行して歯がぐらついたり脱落したりする。
ソウル聖母病院のパク・ジュンボム教授(歯周科)は「慢性的な疲労で免疫力が低下すると、歯ぐきに侵入した細菌に対する防御力が弱まり、炎症が悪化しやすくなる。体内に慢性的な炎症反応が続くと歯周炎につながる」と説明する。
疲労による口腔ケアの怠りも大きな要因だ。パク教授は「疲れていると歯磨きやデンタルフロスを省略しがちで、歯垢や歯石が蓄積して歯周炎が進行する。歯周炎は糖尿病や心血管疾患とも関連が深く、全身の疲労がこれらを悪化させると歯の脱落にもつながる」と述べた。
また、ストレスがたまると無意識のうちに歯を食いしばる「歯ぎしり」が生じやすい。これにより歯を支える骨(歯槽骨)に微細な損傷が生じ、長期的には歯ぐきが退縮して歯を支えられなくなる。
専門家らは、ストレス性の歯損傷を防ぐためには「口腔環境を安定的に維持すること」が最も重要だと口をそろえる。
ストレスで免疫力が低下すると歯ぐきが炎症にさらされやすくなるため、十分な睡眠と規則的な食事で体力と回復力を維持することが基本となる。
加えて、マウスピースの着用は無意識の歯ぎしりによる歯槽骨損傷を防ぎ、定期的なスケーリング(歯石除去)と丁寧な歯磨き・フロス使用は、歯垢の蓄積を抑えて歯周炎の進行を防ぐ効果がある。
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