
ソウル市城北区庁前で「生きる権利」を訴える性売買集結地、通称「ミアリ・テキサス」の女性たちの集会が35回目を迎えた。ただ、性売買集積地の撤去に対する実質的な対策は依然として進展がない。再開発計画は加速する一方で、女性たちは補償のないまま路頭に迷っている。
6月5日午前9時ごろ、城北区にある「ミアリ・テキサス」で働いていた女性たち約30人がデモに立ち上がった。参加者には性労働者の権利擁護団体「朱紅色連帯チャチャ」や、個人の連帯者も含まれた。
城北区庁の横に設けられた仮設テントには「城北区庁はミアリ性労働者の移住についてなぜ沈黙しているのか」「私たちは生きたい」といったプラカードが掲げられた。
赤いハチマキを締めた参加者たちは「裸同然で追い出された。これが正常か」と訴え、「城北区庁は現実的な移住対策を打ち出せ」と声を上げた。
ある従事者の女性は「補償はおろか、月35万ウォン(約3.5万円)を条件に保護施設に入れという話しか出ていない。まるで刑務所だ。これが現実的対策なのか」と憤った。また、別の女性は「区は組合に、組合は区に責任を押し付けるだけで、まともな議論すら進んでいない」と語った。
すでに強制撤去から50日近くが経過。彼女らは今もペットの犬と共にチムジルバン(韓国式サウナ)や知人宅を転々とする生活を余儀なくされている。支援金などは一切受け取れておらず、差し迫る本格的な撤去を前に、生活も住居も見通しが立たない状態だ。
提示されている唯一の公式支援策は「保護施設入所時に月35万ウォン支給」というものだが、現場ではこれを“隔離収容”に近いと感じる者もおり、実効性に疑問の声が上がっている。
現場で連帯した「朱紅色連帯チャチャ」の活動家・ヨルム氏は「清涼里などの集積地が閉鎖された時も、補償がなく消えた女性たちはまた性売買業界に戻るか、国外へ流出してしまった」と述べ、「今回こそは違う結果を望み、街頭に立った」と語った。
また、「城北区庁は民間の再開発を理由に責任を回避しているが、開発許可を出した主体として面談すらしないのは職務放棄だ」と批判した。
城北区は2017年に「性売買被害者自立支援条例」を制定していた。だが、関連予算の確保を怠り、実効性に欠けているとの批判を受けてきた。同条例では、生計費や住宅移転費、職業訓練、教育費の支援を明文化しているが、現実ではほとんど適用されていない。
ミアリ・テキサス一帯は都市環境整備事業に基づき再開発が進んでおり、来月からは性売買店舗が集中する第3区域の撤去が始まる。
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