韓国江原道洪川(ホンチョン)の山岳地帯で、陸軍一等兵が転落死する事故があった。訓練や救助の過程に問題があったことが判明し、遺族が真相究明を求めている。
洪川郡のある山で昨年11月25日午後2時半ごろ、訓練中だったキム・ドヒョン一等兵(21)が転落し、救急ヘリで病院に搬送されたが、4時間後に死亡した。
MBCの報道によると、キム一等兵は通信装備を背負い、午前10時ごろから下士、上等兵2人とともに山を登っていた。ところが、途中で上等兵の1人が脚を負傷し、キム一等兵がその上等兵の荷物まで持つことになった。
キム一等兵は自身の25㎏の装備に加え、上等兵の12㎏の装備を持ちながら険しい山道を登った。だが、その途中で姿が見えなくなり、登山道から外れた場所で、動けないほどの重傷を負った状態で発見された。
しかし、キム一等兵を発見した下士が119通報したのは、発見から27分後だった。さらに、救助に向かった軍のヘリと山林庁のヘリの間で混乱が生じ、救助が遅れた。消防の無線記録によると、軍のヘリが出動したと判断され、山林庁のヘリは撤収指示を受けた。しかし、軍のヘリは負傷者を吊り上げる「ホイスト作業」をできず、そのまま戻ってしまった。最終的に消防のヘリがキム一等兵を救助したのは、事故の通報から約2時間半後だった。
事故当時、キム一等兵の母親は現場責任者から「キム一等兵が任務中に山で足をくじいて転倒した。心配しなくても大丈夫」との連絡を受けた。しかし、そのわずか2分後にキム一等兵は心肺停止に陥った。母親はその事実を知らないまま病院へ向かい、道中で死亡の知らせを聞かされ、絶叫したという。
検視の結果、キム一等兵は頸椎を骨折し、腎臓が破裂していた。山道で転落したものと推定された。
ネット上では「一人が脚を負傷したのに、なぜ訓練を続行したのか? 本当に負傷したのか、それとも後輩に荷物を押し付けるための口実だったのか、これも調査すべきだ」「なぜ負傷した者がいるのに、もう一人が2人分の荷物を運んで山を登るような状況になったのか?」などの声が上がり、徹底した調査を求める意見が相次いでいる。
警察は下士や中士らがキム一等兵に適切な救護措置を取らなかったとみて、業務上過失致死の疑いで捜査している。
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