
病院の更衣室、フィットネス施設、さらには一般家庭に設置されたホームカメラ(IPカメラ)の映像が、世界13言語でサービスされている匿名のアダルトサイト上に大量に流出し、韓国国内で深刻な社会問題となっている。
11月29日に放送された韓国のドキュメンタリー番組「それが知りたい」(SBS)では、IPカメラからの映像流出事件を追跡。韓国各地で発生した被害事例が紹介された。
京畿道南楊州市でビューティーショップを経営する女性経営者は、今年8月に予約を装った不審な男性から連絡を受けた。男性は予約金名目で口座情報を要求した後、突然「本人で間違いないですね?」とメッセージを送り、女性の裸体写真10枚を送りつけた。写真は2年前に1度だけ訪れた皮膚管理室(エステサロン)で撮影されたものだった。
さらに男性は、女性が過去にSNSに投稿して削除した私的な写真まで提示して脅迫し、彼女の口座に現金を振り込んだ上で「ボイスフィッシング」口座として通報し、口座を凍結させた。
これを受けて女性は、該当の皮膚管理室の院長に通報したが、院長は「今年初めにインテリア改装の際、防犯カメラは撤去した。顧客の映像が流出した事実はない」と否定した。院長は「映像はIPカメラを通じて携帯アプリで確認する方式で、録画機能があるとは知らなかった」と主張し、「パスワードは設置業者が設定した」として業者の責任を指摘した。一方、業者側は「我々には映像へのアクセス権限がなく、外部からのハッキングも不可能」と反論している。
映像流出の被害者は他にも存在する。モデル業を営む女性は、スタジオでの撮影中に着替えている様子がIPカメラで撮影され、それがアダルトサイトに流出。交際相手の男性は「知人が『君の彼女がサイトに出ている』と教えてくれて驚いた」と話し、動画は1日で10万回近く再生されたという。女性の実名も拡散され、大きな精神的被害を受けた。
さらに、韓国外で暮らすある女性は、2025年11月に第一子が生まれた翌日、韓国の友人から「お前の動画がある」と連絡を受けた。確認すると、2023年に京畿道河南市で暮らしていた自宅に設置していたホームカメラに録画された、自身と元恋人との私的な場面が映っていた。音声も生々しく記録されていた。
問題の映像は、この女性が最初に発見したサイト以外にも5つのサイトに拡散していた。交際相手が使用していた国産のIPカメラの販売業者に問い合わせたところ、「サーバーは持っておらず、ハッキングは不可能」「他人が携帯を触ったのでは」とユーザー側の過失を示唆する対応をされたという。
番組の取材班は「CAT」の名を冠する流出元サイトを特定。サイト内には猫のロゴが入った大量の防犯カメラやIPカメラの映像がアップされていた。日本語を含む13言語に対応し、韓国語設定にすると韓国内で撮影された映像が次々と表示された。会員登録やログイン不要で閲覧可能なこのサイトには、カラオケ店、病院の更衣室、フィットネス施設、ルームカフェ、ペット用カメラなどの私的映像が日常的に流出しており、わずか1日で他サイトに転載されていた。
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