
「今後は薬価も下がるだろう」――高齢夫婦の会話からも垣間見えるように、韓国京畿道城南市にオープンした倉庫型薬局「メガファクトリー」は、開店から1カ月で注目を集めている。一般用医薬品や健康機能食品をカートに入れて自由に選べる「薬のショッピング」が新しいスタイルとして定着するかどうかに関心が集まっている。
店舗は約460㎡の規模で、10以上のコーナーに一般医薬品や医療機器、健康食品などが整然と陳列されている。販促コーナーでは「1+1」や「メガセール」などの表示が目を引き、価格も一般の薬局より安く設定されている。
実際に現地を訪れた顧客たちは、大型スーパーのようにカートを押しながら薬を選んでいた。比較的若い世代はビタミンやマグネシウムなどの健康機能食品、高齢者は湿布薬などを購入する傾向があった。ある80代女性は「薬剤師の説明に頼らず自分で症状に合った薬を選べるのが便利」と語った。

一方で、薬剤師による適切な服薬指導がないことへの懸念もある。大韓薬剤師会は「医薬品の乱用や地域薬局の経営圧迫につながる」として、「薬の工業製品化」に警鐘を鳴らす。特に必要なタイミングで適切な量が使用されるべき医薬品が「売れる商品」として扱われることで、過剰な摂取や誤用の危険が高まると指摘している。
こうした批判に対し、店舗側は「常時5~7人の薬剤師が店内を巡回し、さらにレジで購入時に2段階の服薬指導をしている」と説明する。実際、薬剤師には「旅行時に必要な常備薬を選んでほしい」「どの関節薬が良いか」など、多くの問い合わせが寄せられていた。
同薬局を運営する薬剤師のチョン・ドゥソン代表は「消費者が1カ所で健康関連製品をすべて手に入れられる“トータルヘルスケア”を目指している。製薬会社との直接取引により低価格を実現した。今後さらに品目を拡充し、消費者の選択肢を増やしたい」と述べている。
薬業界からは、こうした形態が「衝動買いを誘導し、医薬品選択の責任が患者自身に押しつけられる環境が拡大する」として慎重な姿勢も見られる。
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