◇「いいね」維持に懸命の努力
数十万人のフォロワーを持つ人気インフルエンサーも、事情は同じだ。TikTokで21万人のフォロワーを持つファン・セフンさん(20)は、高校2年生の時に新型コロナ禍でクリエイターの道に進んだ。ダンスが好きだった彼にとって、集会禁止命令は活動を直撃するものだったが、SNSは「チャンスの地」だった。
「パンデミックで公演がすべて中止になったんです。この状況で何ができるか考えていたときに『リール』が目に入ってきました」
その後、10~20代のクリエイターが集まる「ティーンスタジオ」に所属したセフンさんは、昨年の冬にアイドルグループ「EXO(エクソ)」の「初雪(The First Snow)」を使ったダンスチャレンジで一躍有名になった。この動画は10月28日現在、リールで967万回以上再生され、同楽曲も音楽チャートで再びヒットして1位に上った。
ファンをある程度持った彼でさえも、大衆の反応に対する悩みは尽きない。セフンさんは投稿後の1時間は「いいね」の数を確認するため「リフレッシュ」ボタンを何度も押す。SNSに投稿した動画がどのように受け入れられているかを知るための「成績表」を確認するようなものだ。通常より「いいね」の数が少ないと悩むこともあるという。
大勢のファンを集めた大物インフルエンサーも、SNSの向こうにいる視聴者の選択を受けようと懸命に努力しているのだ。1日のうち動画にどれくらいの時間をかけているか尋ねると、セフンさんは「寝ている時間以外は常に考えている」と答えた。
◇いつの間にか「職業」になったクリエイター
このようにクリエイターを目指す青少年は特別な存在ではない。韓国教育省が今年3月に発表した「2023年小中学生のキャリア教育状況調査」によると、小学生の間でクリエイター(ユーチューバー、BJ、ストリーマーなど)は、希望する職業の4位にランクインしている。中学生対象の調査でも20位以内に入っている。
この傾向は、SNSが青少年にとって一つの職業として認識されつつあることを示している。多くの時間をSNSに費やすインフルエンサー志望者も、勉強やスポーツに没頭する学生と同じように、夢を実現するために努力していると見て、異なるアプローチが必要だろう。
しかし、年配世代にとってインフルエンサーが活躍するSNSの世界は、依然として理解しがたい「奇妙な世界」に映っている。インフルエンサーとして活動している人たちでさえ、自分の仕事を家族に説明するのに苦労している。
TikTokで12万人のフォロワーを持つ高校3年生のミンギョン(18)はビューティーインフルエンサーとして活動している。ただ、家族とは今も対立している。成人になってからは、インフルエンサーとして専業で働きたい、と伝えたものの、両親はSNS活動を職業とすることを受け入れられずにいる。
「どんな仕事をしているか説明してはいるんですが、よく理解してもらえないんです」
専門家は、青少年にとってSNSはすでに生活の一部になっているため、単に無視するべき問題ではないと指摘する。
韓国放送通信大学のキム・オクテ教授は「韓国社会では伝統的に勉強が最優先とされ、それ以外のすべての行為が勉強の妨げと見なされてきた。新たなメディアが登場するたびに恐怖感が伴ってきた。だが、規制は慎重であるべきだ」と指摘する。
(つづく)
(c)news1