――再出版をインフルエンシャル社から出す理由は何か。
イ・ミンジン氏 私は50代で、こうしてやっと2冊の本を出版した。作家に転向して本を書くようになったのは、注目されたかったからでも、稼ぎたかったからでもない。インフルエンシャル社を選択した理由は、翻訳に対して、多くの権限を与えてくれたからだ。「パチンコ」は人生をかけた作品で、単語一つ一つが私にとって、とても重要だ。世界が変わっているように、出版も変わっているからだ。
実は作家として働くことはかなり危険なことだ。文字を書くことは抵抗の行動であり、革命の行動だ。「パチンコ」も危険な本だ。危険な本になることを願いながら書いたりもした。そのため、こうした部分をよく理解して消化できる出版社が必要だった。私は、「パチンコ」を読んだ人が韓国人に会った時、その背後には5000年の歴史があるということを知ってほしい。
――再出版を迎え、翻訳の過程でどの部分に特に気を使い、どの部分が印象的だったか。
イ・ミンジン氏 今回の翻訳は、作家の意図を反映でき、気に入った。すべての翻訳家は私に親身に寄り添ってくれるので批判はしたくない。ただ今回の翻訳では、特に3部構成にしてくれたことに満足している。それ以外にも、旧版に書き加えられていた小見出しをなくし、原作にあった「ベネディクト・アンダーソン」の引用も、2冊にそのまま載せている。構造、引用句など、私が希望したことをそのまま受け入れてくれた。意図するところを数多く取り入れてくれたことに感謝している。
◇次作は「教育をみる韓国人の視点」
――次作は。
イ・ミンジン氏 現在執筆中の作品は、教育に焦点を当てた「アメリカン学院」。韓国にいる人々の教育だけではなく、世界各地にいる韓国人が教育をどのように見ているのか、教育がどのような役割を果たしているのか、について書いている。教育が、人を抑圧する要因として作用する可能性もある。実際、教育と社会的地位、富は切り離すことができない。そのため、教育がどんな役割を果たしているのかという部分について関心が高く、そこに集中したい。
――どんな作品になるのか。
イ・ミンジン氏 「パチンコ」という言葉は日本語だが、英語でも「PACHINKO」にしたいと主張した。これは世界中の人々が知っておくべき日本語だと思ったからだ。「アメリカン学院」も英語に翻訳する際、「アメリカン・アカデミー(American Academy)」にしたが、私は韓国語の「学院」をそのまま使いたい。韓国人を理解するためには「学院」という単語を知っておくべきであり、世界中の人々が知る必要がある単語だと思う。
――韓国系米国人女性作家が最近、多く登場している。1990年代と今は何が変わったのか。
イ・ミンジン氏 まずは相乗効果が挙げられる。韓流が大旋風を巻き起こし、韓国政府も文化輸出のために努力している。監督、歌手、映画、俳優ら、文化界にいらっしゃる方々が、懸命に成し遂げた結果があってこそ、現在の韓流がある。米国でも私のような人間が、韓流の影響に受けて韓流の相乗効果を出したようだ。これまでにも韓国作家が米国にはいたが、最近はその数が特に多くなった。数が増えれば、反応が続く。
――今回の訪韓で感じたことは。
イ・ミンジン氏 コロナ以前には定期的に韓国を訪れていたが、最近はなかなか来られなかった。9月に世界知識フォーラムのために再び訪韓する予定だ。私はソウルに住んでいないので、ソウルを訪韓するたびに、良いことだけを発見して帰る気分。とても多くの人が私を歓迎してくれることに本当に感謝している。
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