2024 年 12月 1日 (日)
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体重を減らすほど人生は重くなる [KWレポート] 痩せるリスク (2)

先月26日、ソウルのあるカフェで、自身が作成した食事日記を読むイ・ソンミンさん(c)news1

ソンミンさんの人生で「乾いたもの」はいつも「良いもの」だった。成功した女性たちはいつもスリムで、それを「自己管理」と呼んだ。「ダイエット」という単語もわかりにくかった幼いころから、スリムさが女性としての美しさを定義する基本条件だと理解するようになった。

痩せた体は憧れの的になり、それが間違っているとは誰も教えてくれなかった。

吐けば臭いもする。たくさん、異常に食べていた。他の人と一緒にいる時も同じようにしていた。そんなソンミンさんに触れ、「何か変だ」と気づいた人もいたはずだった。なのに「注意してくれる人は誰もいなかった」のだ。

健康上の危機を経験し、病院を訪れても状況は改善しなかった。

高校時代は大学病院に通った。成人になってからは、精神科を訪れたが、医師たちも摂食障害に対する専門的な認識があるように見えなかった。

精神科で処方された睡眠薬を飲み、ソンミンさんはむしろ睡眠障害まで経験した。その後、相談治療を手掛ける摂食障害専門病院を訪れたが、相談費が1時間当たり12万ウォン(約1万2700円)もかかり、途中で治療を中断した。うつ病と孤立と懐疑心から、ソンミンさんは処方された薬物を一気にまとめて飲み込み、死を祈ったこともあった。

摂食障害を経験した患者たちは、社会的無関心に加え、治療のためのインフラ不足によって、韓国国内で十分な治療を受けるのが難しいと口をそろえる。摂食障害は遺伝、ストレス、行動、文化、心理的問題などが複合して現れるため、多様な要因を考慮した治療が必要だ。

にもかかわらず、国内でこのような治療を受けられる病院は数えるほどしかない。大学病院レベルで総合的なクリニックを運営するところは1カ所に過ぎない。

◇「暴食したい」という欲求

幸い、ソンミンさんは生き残り、再び回復するための道を歩んでいる。今年、食事治療を並行する専門クリニックを訪れ、肯定的な変化を迎えることになった。ソンミンさんは食事治療をしながら1日3回の食事と3回のおやつを食べる。初日の1食目は成功したが、食事をきちんとこなすのは依然として難しい。

暴食したい、という渇きのような欲求が頭の中に湧き出ることもある。まともに食事をできない時もある。食事治療中に暴食をして嘔吐した日、ソンミンさんは食事日記に「お腹が張り裂けるほど食べたかった。太ったということを感じ、とても嫌だ」と書き込んだ。

それでも摂食障害は少しずつ良くなった。

今年4月11日、ソンミンさんは衝動的におやつを買って食べて嘔吐した。「初めてだ、あまり食べたくないこの感じが。アイスクリームを食べたが、変わっている。お腹がいっぱいだ」

彼女にとって、食事は依然として大変なことだが、食事治療を通じて、生涯願っていたことがなしとげられた、という。それは「愛する人とご飯を食べて、そのままベッドに横になって、ゴロゴロして寝ること」だった。

◇自分の体を信じてみる

ソンミンさんは今年、知人とともに、摂食障害患者のための共同体である「摂食障害健康権連帯」を立ち上げた。「私たちは摂食障害を体験してきた。悩みを人々と分かち合い、どう対処すればいいかをもう少し考える場を作ってみようと考え、連帯を作った」。ソンミンさんは、仲間と共に生きていく道を選んだ。

ソンミンさんは摂食障害について告白し、積極的に自身の活動も紹介している。最近は、治療器をブイログ(Vlog)で撮ってユーチューブにアップしている。彼女は4月27日に投稿したユーチューブ映像の紹介文で、同じような症状を経験する人々にこう伝えた。

「一食だけ、楽な気持ちで召し上がってみてください。何も考えず、ただ『ご飯を食べる』だけでいいんです。不安で怖いと思いますが、いざやってみれば、何でもないんだな、という気がするでしょう。自分の体を信じてみるのです」

(つづく)

(c)news1

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