2026 年 3月 15日 (日)
ホーム社会休むことが許されない…精神疾患と出欠制度の狭間で苦しむ韓国の高校生たち

休むことが許されない…精神疾患と出欠制度の狭間で苦しむ韓国の高校生たち

大学入試情報を集める受験生たち=写真は記事の内容とは関係ありません(c)NEWSIS

うつ病や不安障害を抱える韓国の高校3年のキム・ユンソさん(19、仮名)にとって「欠席扱い」は治療に先立って立ちはだかる重圧だ。2025年夏から約6カ月間、通院治療を続けてきたが、症状が繰り返すにつれ登校は一層難しくなった。

現行の出欠基準では、精神疾患も身体疾患と同様に医療機関の診断書がなければ病欠として認められない。精神疾患を理由にした独自の「やむを得ない欠席」基準は設けられていない。

キムさんは「毎回、精神科を受診するのは現実的ではない」と話す。頭痛や体調不良といった身体症状を理由に内科の診断書を提出することも多く、証明書がなければ無断欠席として記録される。欠席が積み重なるにつれ、進学計画も揺らいだ。「推薦型選抜では出欠が主要な評価項目になるため不利になる。一般選抜だけでなく、浪人まで考えなければならない状況で不安が大きい」と打ち明ける。

高校2年のイ・ジス(18、仮名)さんも同様の経験をした。うつ病の診断を受けたが、「生活記録簿に無断欠席が残るのが怖く、回復に役立たないと分かっていながら無理に登校した日が多かった」という。

統計も深刻さを示す。疾病管理庁が2025年末に公表した「第21次青少年健康行動調査」によると、直近1年間に2週間以上、日常生活が中断されるほどの抑うつ感を経験したと答えた割合は、中学生で26.2%、高校生で25.1%に上った。青少年4人に1人が該当する計算だ。同年、全国の小中高校で留年が確定した生徒のうち、21.4%が精神健康問題を理由に挙げた。

大韓神経精神医学会のチョン・チャンスン理事は「思春期のうつ病は、登校や学業への意欲低下、無気力が典型的な症状だ。対人関係への恐怖や外出自体の負担から、学校へ向かうことが極度に困難になる場合がある」と説明する。

それでも、精神疾患の生徒を想定した別枠の出欠認定制度は事実上存在しない。成均館大教育学科のヤン・ジョンホ教授は「精神疾患だけを理由に出席を認める制度は、ほとんど見当たらない」と指摘する。ある現職教員も「入院や病欠でない限り、情緒的な困難で長期間登校できなければ欠席として記録される」と語る。

問題は、こうした出欠基準が大学入試と結びつき、青少年に二重の圧力を与えている点だ。光州教育大教育学科のパク・ナムギ教授は「出欠は依然として一部選抜で誠実性の指標として機能する」と話す。東国大教育学科のチョ・サンシク教授も「欠席のある受験生を特異事項として捉え、誠実性や人柄の尺度で評価する可能性がある」と述べる。

専門家は、こうした経験が精神健康に新たな傷を残しかねないと懸念する。檀国大心理学科のイム・ミョンホ教授は「欠席を理由に否定的な反応を受けた体験は自己非難につながりやすい。燃え尽きや学校・治療機関からの断絶を招き、問題を悪化させる恐れがある」と警鐘を鳴らす。

現行の病欠認定方式の実効性にも疑問が出ている。チョン・チャンスン理事は「抑うつや不安は長期化しやすく、欠席のたびに受診を求めるのは非合理的だ。証明を重ねて求める仕組みは経済的負担も大きい」と語る。チョ・サンシク教授も「診断書が治療や回復を支えるより、証明書類として消費されがちなのは残念だ」と指摘した。

専門家は、精神疾患に特化した出欠制度の整備が急務だと口をそろえる。チョン・チャンスン理事は「出欠を理由に自主退学や検定試験へ切り替える例も少なくない。教育体系からの離脱は、当事者にさらなる混乱を与える」と話す。パク・ナムギ教授は、専門家の所見や治療履歴を総合して出欠を認める別の枠組みを提案し、代替学習や参加の仕組みを併せて整え、学習の断絶を最小限に抑える必要性を訴えた。

さらにヤン・ジョンホ教授は、精神疾患による出欠の事情が生徒記録や外部に不用意に露出しないよう、保護策の強化も欠かせないと強調する。欠席日数といった数量指標より、治療の継続性や回復の過程、学習を続けるための努力を総合的に評価する視点への転換が、いま教育現場に求められている。

(c)NEWSIS

RELATED ARTICLES

Most Popular