入学式と新入生オリエンテーション、部活動……。新型コロナウイルスに直撃された学生たちには、こうしたことがすべて「絵に描いた餅」だった。
オンライン授業も2年目。同級生や先輩たちとあいさつを交わすこともなく、講義室がどこの建物にあるのか、おいしい店がどこにあるのかわからない。気持ちは相変わらず新入生だが、もうすぐ後輩たちが入ってくる。
大学に行ってやりたいことはやりなさい、という大人たちの言葉を信じて、入学だけを心待ちにしてきた彼らには、あまりにも過酷な現実だ。そんな彼らが救いを求めたのが、メタバースだった。
メタバース(metaverse)は仮想や超越を意味する「メタ(meta)」と世界・宇宙を意味する「ユニバース(universe)」の合成語だ。現実世界を仮想空間で具現化するプラットフォームを指す。
新型コロナでのオンライン授業に比べ、メタバースは、そのレベルをワンランク上を行く。踊ったり、一緒に写真を撮ったりしながら「自分自身」を表現することができる。マスクをかけなくても、私的な集まりの人数制限を守らなくてもいい。
とはいえ、いくらメタバースが未来の新技術であり、ここで楽しみ、思い出を作ったとしても、直接の対面するより良いはずはない。
どうか2022年の壬寅(みずのえとら)年には、彼らがメタバース空間ではなく、実際のキャンパスで、マスクなしで会って授業を受けられるよう希望する。
©news1