2025 年 8月 8日 (金)
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人口14億、普及率8.5%の宝の山「インドの自動車市場」…日韓メーカーの熾烈な主導権争い

インド市場向け現代のSUVラインアップ=現代自動車提供(c)news1

世界第3の自動車市場であるインドをめぐり、日本と韓国の大手自動車メーカーが熾烈な競争を繰り広げている。米国が日本、韓国、EU製の自動車に15%の関税を課すと発表したことで、企業は新興市場の主導権争いに拍車をかけている。

韓国の大手自動車グループである現代自動車グループは、2025年上半期にインドで約42万8000台を販売した。内訳は現代自動車が28万5809台、起亜が14万2139台で、現代は前年より販売台数が7.7%減少した一方、起亜は12.7%の伸びを記録した。インド市場でのシェアは、現代が約13%で3位、起亜が6%で6位となっている。

現代は1996年にインド進出後、現地化戦略で急成長した。2000年代前半に市場の8割を占めていたインド最大手で日本・スズキの子会社マルチ・スズキは、現在シェアを約40%まで落としている。

現代が2015年に発売した小型SUV「クレタ」は、累計126万台以上を売り上げ「国民SUV」と呼ばれており、2025年初頭には初の現地生産EV「クレタEV」も投入予定だ。起亜も2019年に進出して以来成長を続け、今年上半期には新型SUV「シロス(Seltos派生モデル)」が2万4000台以上を販売する好成績を見せた。

現代グループは、チェンナイの2工場に加え、GMから買収したプネ(タレガオン)工場を下半期に稼働させる予定。起亜の工場とあわせて、グループ全体のインドにおける生産能力は年間150万台規模に拡大する。

一方、トヨタ自動車も攻勢を強めている。2024年のインド市場シェアは約7%で5位だが、スズキとの提携による小型車の供給や技術協力で巻き返しを図っている。現在稼働中の2工場に加え、来年からは第3工場が稼働予定。さらに、マハラシュトラ州政府との協定により第4工場の建設も計画中で、最大年産50万台規模の体制を整える。

自動車業界がインドに注目する背景には、その成長余地がある。14億人の人口を抱えながらも、自動車普及率はわずか8.5%にとどまる。中間層の拡大と経済成長は、今後の市場急拡大を予感させる。

さらに、2025年から施行される米国の自動車関税強化が、日韓メーカーのインドシフトを後押ししている。インド政府は2030年までに電気自動車(EV)の販売比率を30%に引き上げる方針で、2023年のEV販売は11万4000台と、年平均78%の成長率を記録している。

2040年にはインドでのEV販売が550万台に達するとの見通しもあり、韓国の大手国策銀行である韓国産業銀行もこの分野の将来性を高く評価している。テスラが2025年後半にインドで車両引き渡しを開始するというニュースも、市場の期待感を反映している。

(c)news1

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