2024 年 11月 28日 (木)
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人口危機の解答?「国民の生活の質向上」にあり [韓国記者コラム]

仁川市弥鄒忽区のアイン病院(c)news1

韓国与党が7月中旬、人口政策を担う「人口戦略企画省」をスタートさせようと動き出した。これまでの少子化・高齢社会基本法に、新省庁設置の根拠を盛り込み、法律の名称も「人口危機対応基本法」とする改正案を発議した。

しかし、この改正案は、新省庁の設置よりも、重要なことを見落としている。少子化・高齢社会基本法は、国家主義的な認識にとらわれており、少子化問題の克服に限界があると指摘される。

大事なことは、この基本法の人口政策の目的と理念を変更することだ。

基本法は「国家の競争力」を最優先目標とし、「国家の持続的な発展のための人口構成の均衡と質的向上」を基本理念としている。国民生活の質の向上や幸福より、「国家の競争力」や「国家発展」をより重要な目標としている。与党が出した改正案は、法律名を変えたものの、「国家のために子どもを産め」という認識をそのまま受け継いでいる。

合計特殊出生率が0.72人を記録し、超少子化社会が現実になると、韓国内外の専門家は、社会全般の競争緩和や、首都圏集中解消のための長期ロードマップが必要だと強調した。出産率自体を考えるのではなく、国民の「生活の質」の向上を目標とする発想の転換が必要だと口をそろえた。

政府と政界が、このまま国家発展の論理を前面に出し、国民の生活の質を後回しにするならば、人口問題の解決には至らないだろう。

人口危機への対応に成功したと評価されるスウェーデンやドイツなどは、徹底した分析を通じ、国家発展よりも、個人の暮らしを重視する方向へとパラダイム転換し、人口危機脱却に成功した。

現在、一部野党議員が少子化基本法の目標を「生活の質向上」「個人の選択権」とする改正案を発議するものの、与野党は基本法の重要な理念の部分での議論を避けている。一日も早く、人口非常事態にふさわしい基本法の哲学を生み出すことを願いたい。【news1 キム・ユスン記者】

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