
60代で出会った男性と事実婚状態で10年間一緒に暮らし、看病を続けてきた韓国の女性がパートナーの死後、前妻の子どもたちから「家を出て行け」と迫られている。法的権利がないことに苦悩する女性が3月28日、韓国YTNラジオ「チョ・インソプ弁護士の相談所」に切実な訴えを寄せた。
旧家の一人息子と結婚し、子どもができなかったことを理由に義家族から辛くあたられてきた女性は実母の死を機に目覚め、夫と離婚。病気で妻を亡くし、一人で子どもたちを育て上げた男性と出会い、一緒に人生の第2幕を開けた。
だが、幸せな日々は長く続かなかった。男性が病に倒れ、長い闘病の末に亡くなったのだ。形式に縛られる必要はないと思い、結婚届は提出していなかった。
男性の死後、前妻との間に生まれた子どもたちが女性を訪ね、「婚姻届を出していないのだから、あなたに法的な権利はない。父名義のチョンセ(保証金制賃貸)住宅だから、家を整理して出て行ってほしい」と伝えた。
女性は「10年間共に過ごし、看病もしたのに家を追い出されるのか」と憤り、「看病のため仕事もしていないから貯金もない。私は本当に法的に無力なのか」と涙ながらに訴えた。
これに対し、番組に出演していたイム・スミ弁護士は「婚姻届を出していないとはいえ、相談者が亡くなった男性と10年間、経済的・情緒的に依存し合い、周囲からも事実上の夫婦と見なされていたのであれば、事実婚(事実上の婚姻関係)として認められる可能性が高い」と述べた。
一方で現行法上、事実婚の配偶者には法的な相続権はないため、パートナーが亡くなると財産は法律上の相続人である前妻の子どもたちに帰属。女性が追い出されても法的に止める手段は乏しいと説明した。
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