韓国のロッテ七星(チルソン)飲料の乳性炭酸飲料「ミルキス(Milkis)」や製菓大手オリオンの「チョコパイ情」が、それぞれ中国とロシアで「緩やかな快走」を続けている。ロッテ七星はミルキスの輸出が昨年比37%増、オリオンはチョコパイを武器にロシア法人での年間売上が1000億ウォンを突破するなど、好材料が揃う。背景には、各国の文化や嗜好に合わせた商品販売を徹底するなど、現地化戦略が奏功したとの分析がある。
◇ミルキス2000万件超の輸出
飲料業界によると、ロッテ七星飲料は昨年、中国にミルキス(250ml)を約2500万本輸出し、中国市場への進出以来、約30年で最高の実績を記録した。
ミルキスの中国への輸出実績は、2017年(1230万本)、2018年(1300万本)、2019年(1490万本)、2020年(1825万本)と、この5年間、上昇を続けてきた。特に昨年は、輸出実績が前年と比べて約37%も急上昇した。
こうした成長の背景には、中国の消費者の好みに合わせた商品製造がある。
現在、中国で販売しているミルキスは、オリジナルとマンゴー、イチゴ、綿あめの4種類。
中国人が伝統的に黄色と赤を好むという点に着目し、黄色い果物のマンゴーと、赤い果物のイチゴを使ったミルキスを優先して販売した。中国では、黄色は富や権力、赤は幸運や平和、長寿も表す。またこの2色は中国の国旗を連想させる色でもある。
さらに、乳性炭酸飲料であるミルキスを、辛い食べ物に混ぜて中和させるという長所を生かした「火鍋チャンネル」の開設にも力を注いでいる。
ロッテ七星飲料の関係者は「最近発売したミルキス・ピンクソーダは、通常のミルキスがもつ特有のまろやかさをそのまま活かし、甘い綿あめの香りにソーダ味を加えた。ピンクには天然色素を使用しており、飲んで味わうだけでなく、見て楽しむことができるため、若者に人気があります」と話している。
◇ロシアの「国民的お茶菓子」
現地化戦略を通して着々と海外に躍進したもう一つの例がオリオンだ。
紅茶とともに甘いお菓子を味わうロシアの食文化を攻略し、チョコパイをロシアの「国民的お茶菓子」として親しまれるまでに浸透させた。
大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、ロシア国民の98%が紅茶を消費する。1人当たりの年間消費量は約1.2kgに及ぶ。
オリオンは2019年から、フルーツジャムを挟んだチョコパイをロシアで新たに発売し、大きな反響を呼んだ。
ロシアでは、庭園付き別荘「ダーチャ」で育てたベリー類を、ジャムにして食べることを好み、紅茶に直接添えることもある。オリオンはここに目をつけたのだ。
これまでにオリオンのロシア法人が生産してきたチョコパイは、ラズベリー、チェリー、カシス、マンゴー、アップルシナモン、グランベリーを含め11種類もある。これはオリオン全法人で最も多い種類だ。チョコパイ「発祥の地」韓国で販売されているチョコパイは、オリジナルとバナナ、きな粉餅と3種類のみだ。
さらにオリオンは、温厚な人間関係を重視するロシア人の性格と慣習を、ブランドイメージを高めるために活用した。広告でさまざまな人がチョコパイを分け合って食べている姿を見せることで親近感を高めた。
チョコパイ旋風を巻き起こすオリオンのロシア法人は昨年11月時点で、累計売上額1050億ウォンを記録、昨年比プラス29.6%にも上る。年間売上額が1000億ウォンを超えたのは今回が初めてだ。
現在稼働中の工場2カ所では生産が間に合わないほど需要が勢いよく伸びている。オリオンは今年、ロシアのトヴェリ州に新たな工場を建設し、現地の需要増に対応する。同社関係者は「新工場とともに供給量を年間10億個以上拡大する」と意気込んでいる。
©news1