韓国では、2兆ウォン(約2000億円)台の資金が費やされる初の空母事業をめぐり、費用の浪費論議が起きたことがある。だが、「カネを食う空母」批判を繰り返すだけでは、海上交通路の確保という重要なポイントや、領有権紛争における海軍力の重要性というものを見過ごしている、という批判を引き起こすことになる。
海軍力の強化は海上交通の安全を保障する案としても取り上げられている。
世界の海運業界で、韓国は船舶数1680隻、船腹量(Ship’s Space・船舶積載能力)9230万重量トン数(dead weight tonnage・DWT)規模を備え、10大海運国に属する。
海軍本部企画管理参謀部長と第1艦隊司令官を歴任したチョン・ジョンス海洋大学招聘教授は「韓国の軍事費が世界8位から10位圏の54兆ウォン(2022年予算基準)に達する」との見解を示す。
海軍軍備拡充の意味について「海洋主権を守り、海洋資源開発、海洋境界確定に役立てようとするものだ。海上交通路の確保と海洋資源の開発などに必要な外交交渉の大きな武器がまさに軍事力」と強調する。
◇最善策は原潜か
当面の脅威は台湾海峡危機だ。だが地政学的緊張は南方航路だけに限定されるわけではない。
南方航路の代替経路として開発潜在力が注目される北極航路は、ウクライナに侵攻したロシアの主な舞台だ。北極航路の日本海ルートには竹島がある。日本は沖縄県・尖閣諸島への中国側の領海侵入に警戒し、ロシアが不法占拠する北方領土の早期返還を要求し続けている。
北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は次のように強調する。
「古今東西を問わず領土紛争をする国家と軍事安全保障協力をした事例はほとんどない。韓国をはじめ周辺国と日本の間で起きている摩擦は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の路線である韓米日協力体制において韓国に負担を与えている。韓米同盟を基本とするものの、韓中韓ロ協力も疎かにしてはならない。半島国家であるため、韓国にとって常に海軍力強化は欠かせない」
梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授は「北朝鮮の脅威がある。また韓国は資源が限られている。そんな環境で海軍力を増強するには、原子力潜水艦の導入が最良の選択になるのではないか」と述べた。
(おわり)
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