
米国とイランの軍事的緊張を背景に、韓国の造船業界でタンカー受注が急増する兆しが見えている。原油を運ぶ超大型タンカー(VLCC)から石油製品を輸送する中型タンカー(MRタンカー)まで、船種を問わず需要が拡大している。
業界によると、タンカー市場はもともと供給不足の状況にあり、発注増が見込まれていた。これに中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡の封鎖リスクが重なり、船主各社が船隊拡充に動いている。
韓国企業の受注も相次いでいる。HD韓国造船海洋は欧州系投資会社などから5万トン級のMRタンカーを複数受注したほか、中東やシンガポールの海運会社からも追加発注を獲得した。これらの船舶は2028年までに順次引き渡される予定だ。
さらに、原油輸送の主力となる大型船の受注も拡大している。ハンファオーシャンはVLCC3隻を約5887億ウォン(約647億5700万円)で受注し、サムスン重工業も同規模の受注を確保した。
また、スエズ運河を満載状態で通過できる「スエズマックス」級タンカーの需要も高まっている。中東以外、とりわけ米国から原油を調達する動きが強まり、安定的な輸送手段として注目されているためだ。
価格面でも上昇が続く。英国の調査会社によると、VLCCの新造船価格は2025年の約1億2500万ドルから、2026年には約1億2950万ドルまで上昇した。戦争の影響で運賃も急騰し、タンカー確保の動きが一段と活発化している。
一方で、戦況の不透明さから市場の先行きは読みづらい。短期的な需要増に対応するため、中古船の価格が新造船を上回るケースもあり、業界では不確実性の高さを指摘する声が出ている。
(c)news1