2024 年 12月 22日 (日)
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中断された尹大統領の「囲み取材」

 コラム 

MONEYTODAY パク・ソヨン記者

囲み取材に応じるユン大統領(c)news1

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の出勤途中の「囲み取材」が中断される可能性があるという話はかなり前からあった。囲み取材の副作用、リスクを懸念して、中断するよう求める参謀が、当選直後にも、就任後にもいた。

こうした意見に抗うかのように、ユン大統領は囲み取材を固執した。就任翌日の5月11日から、大統領室が中断を決定する11月21日まで計61回、囲み取材に応じた。担当記者の間には「囲み取材だけは中断されない」という漠然とした感覚が共有されていた。ユン大統領の本心に毎日、接してきたからだ。今年7月、新型コロナウイルス感染拡散で一度、中断された。その時も、遠くから記者たちが手を振りながら質問すると、ユン大統領は通り過ぎなかった。

野党は絶えず、この囲み取材の粗探しをした。実際、ユン大統領の発言の中には「(ムン・ジェイン)前政権」に関する言及など、論議を呼ぶものもあった。だが、大統領室の参謀らは、こうした「雑音」を、ユン大統領がメディアと意思疎通を図るプロセスにおける試行錯誤だと受け止めていた。

参謀らは人為的な措置を取らないように努めた。「政治新人」であるユン大統領の、弱点であり、強みでもある「気さくさ」を、ありのまま国民に見せようとする試みだった。実際、雑音の中でも一歩前進するユン大統領の姿も確認できた。

こうした流れが11月18日、MBCテレビ記者と大統領秘書官の舌戦によって急変した。

ただ、予兆はあった。その少し前、大統領専用機へのMBC記者搭乗拒否の決定、専用機内の特定記者との面談があり、龍山記者室1階の壁設置が直後に始まった。記者たちによるいかなる不都合な質問も厭わない、と自負していたユン大統領とは、対照的な姿だ。

囲み取材の中断発表にユン大統領と距離を置くグループは内心、喜んでいるようだ。ホン・ジュンピョ(洪準杓)大邱(テグ)市長のように現実論として、中断を受け入れる与党関係者も少なくない。大統領室は否定しているが、1階の記者室を大統領室の外に移す案も検討されたという話も与党から流れている。

一連の流れは「意思疎通」とは逆行するものだ。疎通によるリスクを封じ込めようとする大統領と、積極的に和らげようとする大統領。「龍山時代」は後世の歴史にどのように記録されるのだろうか。参謀たちはどのような歴史を描こうとしているのだろうか。

(c)MONEYTODAY

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