現場ルポ
中国政府が水素産業を本格化する。米国やEUに続き、中国でも世界の主要国に水素市場が開かれることで、水素産業の成長の勢いが高まることになった。早くからアジアで水素産業に進出した韓国企業にも、より多くの機会が開かれるものとされる。
韓国の水素業界関係者によると、中国の水素技術のレベルはまだ低く、中国政府が海外協力を奨励しているため、国内水素関連企業の市場参入が容易だという。中国の水素産業の中長期的な発展計画が、今後の韓国の水素関連メーカーに肯定的な影響を及ぼすものと観測される。
中国の産業政策を担当する国家発展改革委員会は、2035年まで交通やエネルギー貯蔵など、すべての産業領域に水素を利用する「水素産業発展中長期発展計画」を発表した。中国はこれまで、水素自動車の補助金支給など部分的な政策は施行してきたが、産業全般に適用される水素中長期計画を発表したのは今回が初めてだ。
この発表によると、中国は2025年まで炭素排出がない清浄水素を年間10万~20万トン生産している。2030年までに水素生産・貯蔵・輸送など完璧なサプライチェーンを構築し、グリーン水素中心の水素産業体系を完成させる。
このため、中国は水素燃料電池、水電解設備、水素専用素材などの研究開発と国際協力を促進することにした。水素自動車の充電所を増やし、水素自動車、船舶、航空機など水素モビリティの開発にも乗り出す。建物や産業の補助電力源として水素発電を奨励する。中国水素連盟は「2030年、中国水素市場の規模は2019年より30倍に増えるだろう」と予想した。
特に、中国は水素関連技術力が低いことを認め、国際協力を推進すると発表したことで、現代自動車、SK、暁星(ヒョソン)、斗山(トゥサン)など、韓国を代表する水素企業に期待が高まっている。韓国は、日本とともにアジアの水素経済を先導する国として知られている。
現代自動車グループの場合、2019年から中国水素燃料電池システム市場への進出に向けた事前調査を開始した。昨年2月、中国広東省にグループ初の海外水素燃料電池システム生産基地建設に着工した。今年下半期から年間6500基を生産する方針だ。現代自動車グループは、水素燃料電池システムの普及拡大事業が、中国政府主導のモデル事業から自主競争体制に転換されることに備え、大量生産能力を備えようという計画だ。
現代自動車グループは2020年末には、中国の長江デルタ地域の協力会社と業務協約を締結し、2025年までに3000台以上の水素電気トラックを普及させるという目標を立てた。重慶にも1000台規模の水素電気トラックを普及させるという業務協約を結び、地域の水素電気車のプラットフォーム構築にも参加している。
SKとSKE&Sで水素事業を拡大しているSKグループも、中国市場進出に有利な企業の一つだ。SKE&Sは、中国内でのLNGターミナルインフラの運営権を確保し、中国ネットワークがしっかり確保されている企業だ。SKE&Sはこのような中国ネットワークとSKグループが投資した米国の水素企業「プラグパワー(Plug Powe)」の技術力を活用して、中国水素市場を攻略する計画だ。
SKE&Sは昨年10月、プラグパワーと手を組んでアジア水素事業の共同推進を目的とする合弁会社を設立することにした。合弁会社は2024年まで、水素燃料電池や水電解設備など、水素事業の重要設備を大量生産できるギガファクトリーやR&Dセンターを首都圏に建設する。
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