2025 年 6月 9日 (月)
ホーム国際中国、黄海で構造物を拡大設置…「第2の南シナ海」化狙う「グレーゾーン戦略」、韓国の警戒レベルアップ

中国、黄海で構造物を拡大設置…「第2の南シナ海」化狙う「グレーゾーン戦略」、韓国の警戒レベルアップ

韓国海洋科学技術院(KIOST)の調査船が黄海の暫定措置水域(PMZ)で確認した中国の構造物「漁場管理支援施設」=KIOST提供(c)MONEYTODAY

中国が黄海の韓中暫定措置水域(PMZ)に複数の大型構造物を建設し、これが韓国の海洋主権と安全保障環境に新たなリスクとして浮上している。中国側は「漁業施設」と説明しているが、その規模や立地、軍事訓練との連動などから、南シナ海での「グレーゾーン戦略」と同様の意図が読み取れるとの指摘が相次いでいる。

中国は2018年から、PMZ内に高さ70メートルに達する鉄骨構造の「漁業施設」を設置し始め、近年ではヘリポート付きの試掘施設や多数のブイも展開している。さらに、この海域を航行禁止区域とし、空母を動員した軍事訓練まで実施した。

こうした動きは、軍事的手段を露骨に用いることなく、事実上の支配権を確立する「グレーゾーン戦略」の一環とみられる。これは、かつて南シナ海で中国が人工島を造成し、そこにミサイルや対空砲を配備した上で自国領土と主張し、既成事実化した手法と酷似している。

とりわけ黄海は、中国にとって米軍の接近を阻止する「戦略的緩衝地帯」としての価値も持ち、北京や沿岸都市、さらには在韓米軍を意識した防衛ラインの一部と位置づけられている。韓国外交官の間では「黄海の内海化」が進行中だとの懸念が広がっている。

これに対して韓国政府や専門家らは、以下のような多角的かつ複合的な対応の必要性を訴えている。

まず、現時点ではPMZの中間線を越えた構造物の設置であり、国際法上、明確な違法性を問うのが難しい。しかし、韓中海洋協力会議や共同漁業委員会を通じて、中国に対し外交的に違反行為の是正を求める必要があるとされる。

また、韓国側も中間線付近に同様の海洋構造物を設置する「比例対応」案が浮上している。観測用ブイや海洋研究施設、さらには浮体式発電所などが検討対象に挙がっている。

さらに、構造物の軍事転用を見据えた先制的な情報収集体制の強化も急務とされる。偵察衛星や哨戒機、無人機などを活用し、韓国海軍と海洋警察の連携による巡察活動を常態化する必要がある。米韓共同訓練や情報共有を強化し、構造物問題を「米中戦略対立」の文脈に引き上げるべきとの提案もある。

一部では、フィリピンが南シナ海で中国の領有権主張に対抗するため、第二次世界大戦の上陸艦を座礁させた事例に倣い、「廃船を故意に接触させ、事故として装う」戦略も議論されている。

国際時事誌「PADO」のキム・ドンギュ編集長は「中国の構造物に廃船を衝突させるという強硬手段と並行して、韓国側も同様の施設を設け、軍事施設化の可能性をちらつかせる“強いシグナル”を出す必要がある」と主張した。

イ・ジェミョン(李在明)新政権にとって、中国の黄海戦略への対応は単なる漁業や主権問題にとどまらず、北東アジアの安全保障バランスを左右する重大な試金石となりそうだ。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular