2025 年 2月 11日 (火)
ホーム経済IT/メタバース世界主要都市で注目される「駐車難の解決ロボット」…韓国、巨大市場を逃すのか

世界主要都市で注目される「駐車難の解決ロボット」…韓国、巨大市場を逃すのか

マイクロソフト「デザイナー」作成画像(c)MONEYTODAY

ソウルをはじめとする世界の主要都市が共通して直面している問題が「駐車難」だ。都市部の過密化と地価の継続的な上昇、そして自動車保有率の増加により、駐車スペースの確保がますます難しくなっているためだ。

駐車難は単にドライバーの不便にとどまらない。駐車スペースを探して道路をさまよう過程で交通渋滞が悪化し、車両のアイドリングが増加して大気汚染にも影響を与える。時間の浪費と燃料消費が積み重なることで、経済的損失も次第に大きくなる。

このような問題を解消できる核心技術として「ロボット駐車」が注目されている。ロボット駐車とは、ドライバーがバレーパーキングのように駐車場近くの外部エリアに車を置いて降車すると、ロボットが車両を持ち上げ、自律走行で駐車場内の空いているスペースに駐車する技術だ。

ドライバーが自ら駐車する「自走式駐車場」や、機械を操作して車両を出し入れする「機械式駐車場」よりもはるかに密集した駐車が可能で、同じ駐車面積でより多くの車両を収容できるようになる。

自走式駐車場で必要とされる▽人の乗降および移動スペース▽前後進行に伴う余裕スペース▽対向車を避けるスペース――などをなくすことができ、機械式駐車場と比較してもより低い天井高を使用することで建設費の削減や追加の賃貸スペースの確保などが可能となる。

さらに、機械式駐車場では機械の欠陥や不十分な安全管理、利用者の過失などさまざまな要因により、継続的に人的被害が発生している。自走式駐車場の人的被害の可能性は機械式駐車場に比べて低いものの、「ドアパンチ」をはじめとする大小の事故が頻繁に発生している。

ロボット駐車はこのような既存の駐車システムの問題を解決する技術として市場価値が高まっている。米グランドビューリサーチ社によると、世界のロボット駐車市場規模は2030年に67億ドルに達すると予想されている。

ロボット駐車技術「MPシステム」製品=SP&モビリティ(c)MONEYTODAY

◇交通渋滞で悪名高いタイ、K-ロボット駐車技術で駐車難を解消

ロボット駐車を活用して駐車難を解消した代表的な国として挙げられるのがタイだ。交通渋滞と駐車難で悪名高いタイの首都バンコクは、ロボット駐車技術の導入に成功した模範的な事例と評価されている。特に、韓国スタートアップのロボット駐車技術が適用された点が注目を集めている。

バンコクのショッピングセンター「ウィズダム101」には、韓国のスタートアップ「セムペルM」のロボット駐車技術「MPSystem」が導入された。2022年9月から、合計690台規模のシステムが稼働中だ。自社開発のプログラムを通じて、2分30秒ほどの短時間で車両の出庫が可能だ。

バンコクの住宅施設「ハイド・スクンビット」には198台規模のMPシステムが設置された。車両駐車スペースの高さを低くすることで、工事に必要な掘削深度を減らし、狭い土地に対して相対的に多くの駐車台数を確保している。

MPシステムの要素は大きく▽ロボット▽デリバリーシステム▽ソフトウェア――の3つに分けられる。まず、ロボットが動いて最大3トンの車両を持ち上げた後、デリバリーシステムを通じて車室がある階に移動し、垂直・水平・回転と自在に動いて駐車の任務を完了する。

駐車のすべての過程はAI(人工知能)ソフトウェアが担当する。各車両の時間帯別の入出庫を自ら学習し、車両ごとに適した位置の車室に配置する。これにより出庫予約も可能となっている。

セムペルMは2016年にメキシコを手始めに、欧州や東南アジアなどにMPシステムを輸出してきた。その後、2022年にロボット駐車を新規事業として選定したサンピョグループと提携し、合弁会社「SP&モビリティ」を設立した。MPシステムの国内営業はSP&モビリティ、海外営業はセムペルMが担当している。

HLマン​​ドの駐車ロボット「パーキー」=HLマン​​ド(c)MONEYTODAY

◇HLマン​​ド・ヒューマックスモビリティも挑戦状…商用化の壁は越えられず

セムペルMのほかにも、HLマン​​ドとモビリティプラットフォーム企業「ヒューマックスモビリティ」がロボット駐車市場に参入した。HLマン​​ドは昨年、KTの板橋新社屋駐車場でロボット駐車システム「パーキー」の商用化を目指した実証事業を実施した。

パーキーは幅1100mm、長さ1860mmのサイズで、3トン以上の車両も軽々と持ち上げることができる。HLマン​​ドのレーダー、ライダー(LiDAR)、カメラなど、自律走行と先端部品技術が総動員されている。これを活用すれば、既存の駐車場の収容能力を最大30%向上させることができるとHLマン​​ドは説明している。

ヒューマックスモビリティは昨年、現代ウィアが開発したロボットを通じて、ソウル・聖水洞のロボット対応型ビル「ファクトリアル聖水」で技術を検証した。このロボットはタイヤリフト方式で20秒以内に車両を持ち上げ、最大2.2トンまで運搬可能だ。

複数の企業がロボット駐車市場に「挑戦状」を叩きつけたものの、国内では高い規制の壁に阻まれ、いまだ商用化の段階には至っていない。現行の駐車場法上、ロボット駐車は機械式駐車に分類され、既存の機械式駐車装置の安全・検査基準に関する規定がそのまま適用される。

業界関係者は「ロボット駐車には別途の関連規定がなく、一般的な機械式駐車装置(パレット)の設置および安全基準に従わなければならない。ロボットが車の下に入り込んで移動させるという単純な概念なのに、現行法規では財産上の被害を与える行為とみなされ、停車中の車両を移動させることが不可能だ」と述べた。

企業はロボット駐車に関連する制度的不確実性のため、事業性の判断が容易ではなく、大規模な投資や生産拡大に踏み切れない状況だ。安全事故発生時の保険金額の算定問題や、運営会社・建物所有者などの責任の所在も不明確な状態である。

SP&モビリティのチャン・ソンジン代表は「ロボット駐車システムは法規を順守しつつ国内に普及しているが、駐車可能台数を大幅に増やして駐車難を解消し、工事費用を削減できるという利点が法的規制のために100%発揮できていないのが残念だ」と語った。

(c)MONEYTODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular