北京冬季五輪を記念し、長期執権の大統領・首相、絶対君主(国王)ら世界の非民主主義国家と発展途上国の首脳が一堂に会する。米国、英国、カナダなど相当数の主要国が今回の五輪に政府使節団を派遣しない「外交ボイコット」を宣言する中、外交総力戦を展開した中国の習近平国家主席が、ややみすぼらしい成績を残したという分析だ。米国が抜けた国際舞台でプーチン露大統領が最も重要な国賓として浮上するなど、中露密着がどんな結果を生むかも関心事だ。
米ブルームバーグ通信によると、4日の北京冬季五輪の開幕式には計21カ国の首脳が出席する予定だ。これは2008年の北京夏季五輪の開幕式に米国など計68カ国の大統領、首相、国王ら最高首脳が出席したのと比べると3分の1レベルだ。
特に主要7カ国(G7)のうち今回の冬季五輪に最高指導者が参加するところはない。20カ国・地域(G20)に範囲を広げても、開催国・中国を除けば、ロシアやサウジアラビア、アルゼンチンの3カ国に過ぎない。
北京冬季五輪開幕式に出席する首脳級はアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプト、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、カンボジアなど。多くが数十年の長期政権を維持するなど、非民主主義体制国家を率いているという点が注目される。民主主義国家はシンガポール、モンゴル、ポーランドなど8カ国だけだ。
「世界の祭り」になるべき五輪の舞台が冷めた背景には米国がある。米国は昨年12月、新疆ウイグル、香港、台湾など、人権弾圧などを理由に「五輪に選手団は派遣するが、政府使節団は送らない」と外交的ボイコットを宣言した。その後、英国やカナダ、オーストラリアなどもボイコット参加の意思を明らかにした。デンマーク、ノルウェー、フィンランドも同調した。
ニュージーランドとオランダ、スウェーデン、オーストリアなどは、公式には外交的ボイコットを宣言しなかったが、新型コロナウイルス感染などを理由に政府高官を送らないという不参加の意思を伝えた。韓国はボイコットに参加しなかったが、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は開幕式に出席しないことにした。出席するかどうかに関心が集まっていた北朝鮮も、新型コロナのため参加しないことを最終決定した。
世界の主要国が一斉に抜けたことで、今回の五輪開幕式の中心に発展途上国が立つことになった。世界銀行の統計によると、今回の開幕式に指導者が出席する国の国内総生産(GDP)は、世界の6%に過ぎないと、ブルームバーグは分析した。これらの国家は、新型コロナパンデミックから2年間も外交活動を中止した習主席と向かい合う機会を狙っているということだ。
実際、アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、訪中期間中、両国の通貨スワップの拡大を要請する計画だ。中央アジア5カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)は5億ドルの援助と新型コロナワクチン5000万回分を提供するという中国との約束を取り付けた後、開幕式への出席を確定した。
オーストラリア国立大研究員は「開幕式参加国は米国と同盟を結んでいないため、外交的に失うものがほとんどない。半面、中国からは経済的に得るものが多い」と指摘した。「冬季五輪開会式の出席者名簿は中国の『戦狼外交』が国際社会でどれほど共感を失っているかを示す端的な事例」と強調した。
一方、中国とロシアの関係はさらに緊密になるものとみえる。 習主席とプーチン大統領は4日、単独午餐会談をした後、五輪開幕式に共に出席する予定だ。 プーチン大統領は2008年の北京夏季五輪の時も北京を訪問したが、当時、ブッシュ米大統領に押されて胡錦涛国家主席と単独会談をすることができなかった。
中国国営中央テレビ(CCTV)や新華社通信などもプーチン大統領の訪中に先立ち、「中国とロシアは戦略的パートナー」という内容を相次いで報じ、雰囲気を盛り上げている。プーチン大統領は寄稿文を通じ「ロシアと中国は国際問題で同じ意見を持つ良い友人」「今回の訪中を通じて習主席と両国、地域、国際問題について包括的な論議をする」と明らかにした。
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