廃プラスチックリサイクル市場に参入した韓国の化学業界関係者は、次のように言葉をそろえる。
「プラスチック循環経済ですか? 体系的に回収・選別が進められてこそ、可能です」
回収や選別は「プラスチック循環経済」生態系づくりの第一歩だ。ところが、最初からまともではない、というのが業界の問題意識だ。
◇残りかすが50~60%
環境省と業界によると、2020年で韓国に年間960万トンに達する廃プラスチックが排出された。新型コロナウイルス感染のパンデミックを経て、配達文化の活性化などの変数のため、この数値はさらに上昇したと観測される。
このうちリサイクルされたのは230万トン(24%)に過ぎない。380万トン(40%)は固形燃料、290万トン(30%)は焼却、60万トン(6%)は廃棄された。76%が燃やされたり捨てられたりした。
回収・選別プロセスからして問題がある。
分別収集は徹底されているが、収集・選別は違う。全国約1万カ所に達する零細・中小リサイクル業者などが「手作業」でプラスチックゴミの分類・選別をしているためだ。
プラスチック業界関係者は「業者が手で廃プラスチックをいちいち選別するので、選別できなかった残りかすが50~60%に達する」という。
しっかり選別されていない廃プラスチックは結局、埋め立て、焼却されることになる。資源の浪費であるだけでなく、環境汚染も誘発する。
◇先行する米欧
海外では革新的な事例が出ている。米国も欧州も分別収集を韓国と同様、しっかりできているわけではない。
だが「機械化」で革新を成し遂げた。
米ニューヨークの「サンセット・パークMRF(リサイクル材料回収施設)」が代表的だ。ニューヨーカー860万人の居住用リサイクルゴミを処理するところなのに、職員は115人に過ぎない。ロボットと光学選別機など最先端装置でゴミ選別の自動化を成し遂げた。ドイツ、デンマークなど欧州諸国も同様に回収・選別の自動化に乗り出している。
プラスチック業界関係者は「システムがよく整えられ、機械化・自動化された場所では、残りかすが10%しか出ない。そのレベルまで技術が高まってきた。資本を投入し、回収・選別をきちんとすれば、90%に達する廃プラスチックをリサイクルできる。そんな道が開かれた」と説明した。
◇韓国各社も活路を模索
韓国企業も回収・選別作業の先進化に向けて苦心している。ひとまず直接的な事業進出は不可能だ。廃プラスチック回収・選別の場合、大企業の進出が法的に阻まれている。その代わり、自治体との協力やスタートアップ投資などを通じて活路を模索する。大多数の地方自治体も埋立地・焼却場不足に頭を悩ませているため、循環経済を積極的に後押ししている。
ソウル市は最近、主要精油・化学企業との循環経済関連協約の締結を進めている。SK・LG・GS・HD現代などの系列会社が対象企業として取り上げられている。ソウル市が廃ビニール、汚れたプラスチックの回収に力を注ぎ、企業がこれを熱分解油として活用する方法が有力だ。
ロッテケミカルは城南(ソンナム)市、仁川(インチョン)市と協約を締結し、住宅団地、学校などに廃プラスチック回収機の設置などモデル事業を進めている。昨年8月にはGEテクノロジーと業務協約を結び、化学的リサイクル・ポリエチレンテレフタレート(PET)フレークの年間4万トンの供給を受けることにした。「プロジェクトループ(Project LOOP)」活動を通じてソーシャルベンチャー企業8社と協約を結び、廃ペットボトルの回収やリサイクルに乗り出した。
SKジオセントリックは華城(ファソン)市、環境にやさしいソーシャルベンチャー企業「スーパービン(Super Bin)」と協力している。同社は、環境にやさしい回収ステーションで、人工知能(AI)アルゴリズムに基づき、ペットボトル、缶などを自動的に選別処理するロボット「Nephron」の製作・運営している。
(つづく)
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