韓国SKハイニックスが最近、発足10周年を迎え、200%特別祝賀金の支給とともに、ある“福祉案”を発表した。ひとつは「ハッピーフライデー(金曜日を休日に)」施行、もう一つは「ハーマンミラー(Herman Miller)」椅子交換だった。このうち社員の間で注目を集めたのはハーマンミラー椅子の導入だった。
ハーマンミラーはひとつ250万ウォンを超える高価な椅子だ。快適さ・高級感を備え、会社福祉の尺度がハーマンミラー椅子の有無により決定されるという笑い話があるほど。
財界関係者によると、主要企業は新型コロナウイルス感染のエンデミックに合わせて日常回復にスピードをあげ、国際競争力確保のために人材獲得に総力を尽くしている。その中で最も重要な要素の一つになったのが、社内福祉の恩恵だ。給与とワークライフバランス(仕事と生活のバランス)のほかにも、企業が役職員の業務環境と組織文化に気を使っているとなれば、内外で高い評価を得ることになる。
SKハイニックスのハーマンミラーチェア導入も「単なる社内の備品交換ではない」という声が出るのもそのような背景がある。
人材流出が激化している主要企業が福祉恩恵を掲げ、人材確保市場において水面下で戦っているわけだ。SKハイニックスの役職員3万人余りの椅子がハーマンミラー椅子に変わるには600億ウォン余りの費用が必要だ。だが「社員の福祉を優先する」というイメージはそれ以上の価値があるという評価だ。社員からも「単純な椅子の交換かもしれないが、“会社がこういうことまで配慮するのか”と社員は感動を受ける」という声も出ている。
ハーマンミラー椅子は「事務用椅子系のシャネル」と呼ばれる。長時間座っている社員の腰・首の痛みを軽減する人間工学的デザインと特殊弾性繊維が適用されている。GoogleやApple、Facebookなど海外有名IT企業のほかにも韓国内企業のネイバーやカカオ、BTS(防弾少年団)所属事務所HYBE(ハイブ)もこの椅子を使用する。事務職種の企業の中には、求人公告に「ハーマンミラー椅子が配置されている」という文句を入れるところまであるほどだ。
財界関係者は、SKハイニックスのように主要企業が福祉の恩恵を掲げて、人材を呼び寄せるだろうという声が出ている。LG電子は今月8日、労使が2022年度の平均賃金引き上げ率8.2%に合意し、▽育児休職期間を2年に拡大▽役職員配偶者総合検診支援を1年に短縮――など福利厚生改善案を確定した。LGイノテックも過去最大賃金引き上げ(10%)と本人医療費上限額100%に上げ、住宅融資支援金拡大など役職員福祉を拡充した。
年を超えたサムスン電子の労使対立も最近、企業側が有給休日の拡大を提案したことで急速に動いた。サムスン電子労使は14、15両日、約3カ月ぶりに実務交渉を再開した。企業側はこれまで休憩権の保障を要求してきた労組組合員を対象に、これまでの年次有給休暇15日以外にも有給休日3日の追加を提案した。サムスン電子は交渉とは別に不妊休暇と長期勤続休暇を拡大するなど休暇保障に苦心している。
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