
コスパと携帯性を重視する消費トレンドが、韓国ビューティ市場の風景を変えている。いわゆる「プチビューティ」と呼ばれる小容量コスメの需要が急増し、オンラインのみならずオフラインの流通チャネルでも関連商品ラインナップの拡充が加速している。
スタイルコマースプラットフォーム「ABLY(エイブリー)」によると、2025年1~4月の小容量コスメの取引額は前年同期比で3倍に増加。購入者の約75%はZ世代+α(10~20代)であり、「ミニシャドウ」「ミニリップバーム」などの検索数も急上昇している。
このような流れは▽リーズナブルな価格でさまざまなブランドを試したいというニーズ▽夏場の外出や旅行時の持ち物の軽量化志向▽機能性重視の実用的消費拡大――といった要因と結びつき、急速に拡散中だ。業界関係者は「フルサイズよりもハードルが低く、新商品を試す導入製品として適している」と説明する。
ブランド側もこうした動きに機敏に反応している。コスメブランド「デイジーク」は、ベストセラーのアイシャドウパレットをミニサイズで発売。本品比で約70%安い価格が注目され、販売開始からわずか10分で完売した。「タイニーワンダー」は、指先ほどのサイズのアイシャドウやチークで美容系YouTuberの間で話題を呼んでいる。
「エスプア」や「スキンフード」も、旅行用キットや1日分のパックなど、小容量商品の強化に乗り出している。
小容量コスメは、流通チャネルの多様化とも連動して存在感を増している。ダイソーは最近、リップバームやクレンジングウォーター、トラベルセットなど1000~3000ウォン台のミニビューティー商品のラインナップを大幅に拡充している。旅行やキャンプ需要の高まりに応じ、トラベルキット型商品が注目されている。
コンビニ業界も例外ではない。GS25は「リアルバリア」「ダーマビー」などのダーマコスメブランドと手を組み、3000ウォン台の小容量スキンケア商品を展開。CUも美容ブランド「エンジェルルカ」との協業で、「コラーゲンラッピング水光パック」や「グルタチオン保湿クリーム」など3種を発売した。「ワンポイントアイテム」という名のこれらの商品は、フルサイズに比べて価格の負担を軽減しつつ、効能はそのままという点が強みだ。
流通業界は「プチビューティ」が単なるブームを超えて、新たな購入基準として定着する可能性に注目している。実際、ABLYのデータ分析によれば、小容量コスメを初めて購入したユーザーのうち68%が、3カ月以内に同カテゴリーの商品を再購入しているという。これは、小容量商品がブランドへのロイヤルティ向上につながる“入り口商品”として機能していることを示している。
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