韓国のロッテイノベイトが先月リリースしたメタバースサービス「カリバース(CALIVERSE)」は、バーチャル公演やショッピングといった初期コンテンツのビジュアルの完成度が強みとして注目された。今後、MBCの「ショー!音楽中心」などの公演コンテンツが拡充され、バーチャルリアリティ(VR)機能が導入されることで、さらなる魅力が期待されている。
しかし、主要コンテンツを消費した後は、やや不完全な「ゲームプレイ」による体験に限られる点が惜しまれる。
最初に接続すると、3D高品質グラフィックで再現された都市の景観が目を引く。広大なマップで、建物の隅々まで丁寧に作り込まれている。アバターの外観も細かくカスタマイズできる点が特徴だ。
特に期待されるのはバーチャル公演コンテンツで、ユーザーは韓国のガールズグループ「NMIXX」や「SATURDAY」らアーティストの公演を楽しめる。
公演マップに入ると、目の前で踊るNMIXXの姿を見ることができ、1人称視点での臨場感があった。特にVRデバイスとの連携が期待される部分だ。
しかし、出演するアーティストが少なく、同時に楽しむユーザーがいないため、お祭りのような盛り上がりは感じられなかった。もっと多くのアーティストと提携し、ファン層を拡大する必要があると感じた。
実在する商品を模したバッグや家電などをアバターのアイテムとして購入できるショッピングコンテンツもあったが、まだ実際のショッピングには連動していない。デザインも他のゲームに比べて個性が少なく、購買意欲を掻き立てるには不十分だった。
最大の問題は、初期コンテンツを消化した後、カリバースが中途半端な「ゲーム」として終わる点だ。ゲームが主な目的ではないはずが、コンテンツ不足をゲーム要素で埋めようとしている印象を受けた。
ノンプレイヤーキャラクター(NPC)とのミッションや、プラットフォーマー的な要素が追加されているものの、他のシミュレーションゲームと比較すると物足りない。
最終的に、メタバースの本質であるユーザー間のコミュニケーション機能を拡大することが課題となる。特に音声チャット機能の改善が必要だ。現在はパーティーを組んでいないユーザーとはテキストチャットのみ可能で、直感的な交流が難しい。ロブロックスのようにユーザー作成コンテンツを導入することも一つの解決策だ。【news1 ユン・ジュヨン記者】
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