2024 年 12月 4日 (水)
ホーム政治北朝鮮ロシア人観光客が撮った平壌地下鉄の旅…「統一駅」が「牡丹峰駅」、名称に見る北朝鮮の変化

ロシア人観光客が撮った平壌地下鉄の旅…「統一駅」が「牡丹峰駅」、名称に見る北朝鮮の変化

平壌地下鉄千里馬線の「復興駅」内部=YouTube「PoletMeAviationVideos」(c)news1

最近、北朝鮮の平壌地下鉄の駅舎や車両内部の様子を収めた動画が公開され、注目を集めている。

ロシア人観光客が10月に訪朝した際の様子を撮影し、「平壌地下鉄(2024)、北朝鮮」というタイトルでYouTubeに投稿した。この動画には、平壌地下鉄千里馬線の利用体験が収められている。

観光客はまず復興駅の窓口で紙製の切符を購入。料金は1人当たり約150北朝鮮ウォン。その後、「主体朝鮮の太陽、キム・ジョンウン(金正恩)将軍万歳」と書かれた改札口を通り、長いエスカレーターでホームへ向かった。駅内部はアーチ型の天井とシャンデリアが特徴的で、豪華な雰囲気が漂っていた。

平壌地下鉄は、千里馬線と革新線の2路線だけで、駅数はそれぞれ8つ、合計16駅と非常にシンプルだ。

平壌地下鉄千里馬線の列車内部の様子=YouTube「PoletMe Aviation Videos(c)news1

ホームには黒い制服を着た女性駅員が電車の到着を知らせる丸いパネルを掲げ、4両編成の列車が入線した。車内は向かい合わせの座席配置が韓国の地下鉄と似ていたが、扉の上にはキム・イルソン(金日成)、キム・ジョンイル(金正日)両氏の肖像画が飾られている点が北朝鮮らしい特徴だった。

観光客は次の栄光駅で新型車両に乗り換えた。車内の小型電光掲示板には「平壌地下鉄をご利用のお客様を歓迎します」という案内が流れ、時刻、速度、温度、湿度などの情報も表示されていた。列車の平均速度は時速42kmだった。

さらに、車内には高齢者、障害者、妊婦のための優先席が設けられ、乗客は静かに読書をしたりスマートフォンを見たりしていた。このような点は韓国の地下鉄と似ている部分が多かった。

平壌地下鉄千里馬線路線図=YouTube「PoletMe Aviation Videos」(c)news1

やがて列車は牡丹峰駅に到着。この駅はもともと「統一駅」と呼ばれていたが、キム・ジョンウン総書記が昨年末、「敵対的な二国論」を提唱し、統一や民族を強調する表現を排除する動きを進めたことで、今年から「牡丹峰駅」に改名された。動画内の路線図を見ると、牡丹峰駅の名前だけ文字が新しく書き直された形跡が見受けられた。

最後に観光客は凱旋駅で下車した。2019年に改装されたとされるこの駅では、最新の設備が目を引いた。プラットフォームの通路にはタッチスクリーンが設置され、子どもたちが画面を操作してニュースを読んでいた。また、階段を上がると「新聞・雑誌」と書かれた小さな売店があり、CDプレイヤーや書籍が販売されていた。その中には、ロシアの伝説的スキー選手エレナ・ヴェルベの物語を題材にした映画「白い雪」(2021年)のCDも並んでいた。

凱旋駅の内部=YouTube「PoletMe Aviation Videos」(c)news1

凱旋駅の入り口にある電光掲示板には「主体113(2024)年10月8日」と表示されていた。これは、北朝鮮がキム・ジョンウン総書記個人を中心とした新たなプロパガンダ政策の一環で、主体暦(北朝鮮独自の年号)を部分的に廃止する動きを進める中で、まだ一部で使用され続けていることを示している。

なお、この旅行商品には航空券、宿泊、食事、観光が含まれた4泊5日のスケジュールで、総額は1378ドル(約20万円)だった。このツアーでは平壌地下鉄の乗車体験のほか、万寿台噴水公園、祖国解放戦争勝利記念館、主体思想塔、万景台少年宮殿などの主要観光地を巡ることが含まれていた。

北朝鮮は新型コロナ禍の間、国境を封鎖していたが、昨年8月から一部再開している。しかし観光はロシア国籍者に限定されている。北朝鮮とロシアは軍事的な協力にとどまらず、観光や経済などさまざまな分野で関係を深める動きを見せている。

(c)news1

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